2013/12/05

無尿の尿も尿は尿

 「無尿透析患者さんの尿路感染症」という言葉は一見矛盾している。しかし、pyocystisといって(pyonephritisの姉妹語)膀胱が溶けるほどの感染で死亡にいたることは、あるそうだ。私は経験ないが、実際、報告もある(J Urol 1985 134 716)。
 では、無尿患者さんの膿尿は、すべて感染症なのだろうか?これについてはレビュー論文(KI 2006 70 2035)があって、いくつかある小スタディをまとめると、膿尿が尿路感染症かについてはPPVが11-70%(当てにならない)、NPVは90%を越えていた。
 では膿尿+細菌尿(で培養まで陽性)だったら?症状があれば、感染と取るのがリーズナブルだ。症状がない場合、実際の臨床では治療しないこともあるが、それで膀胱が溶けたということもあるようだ(Int Urol Nephrol 2002 34 415)。
 いままで正直あまり気に留めなかった無尿患者さんの尿だが、「無尿の尿も尿は尿」なようだ。感染のフォーカスを絞れないときなど、NPVが高いので膿尿がなければ除外に使えるし、あって培養まで陽性なら注意しなければならない。