2007/12/26

生理学

 電解質異常、酸塩基平衡をとりあつかうのも腎臓内科である。体液バランス、イオンバランスが崩れた状態のことだが、腎臓がこのバランス(恒常性、ホメオスタシス)を保っているからである。これらの病態理解と治療計画を苦手に感じる人はおおいようだ。私など研修医時代、理解できなくて辛い思いをすることを「低ナトリウム血症」という隠語で表現していたくらいである。

 細胞内外の物質移動、血管内外の物質移動、腎臓内外での物質移動を理解し、それに基づく系で計算式をたてるのがこれら治療の基本である。生理学の根底を理解するのに勉強になるし、理論をたて、治療を計画し、結果をチェックして考察するというところが科学的である。

 まじめに考えると、計算をえっちらおっちらしているうちに何時間も過ぎていることがあるが、結果がついてくるのはうれしいものだ。なんとなく治療すると一向に下がらない値が、ちゃんと計画してやると順調に下がることもある。

 ただ、あまりに熱中すると他の問題点がみえなくなって、患者さんにマイナスになることもあるので注意が必要だ。点滴だけで治療することしか頭にないと、食事をはじめるタイミングが遅れることがありうる。状態は刻々と変わるし、広い視野が必要だ。