RALSトライアルといえば、心不全におけるスピロノラクトンの有効性を美しく示したスタディだ(NEJM 1999 341 709)。そしてこのトライアルでもう一つ知られているのは、スタディを鵜呑みにして人々が薬を使いまくった結果、副作用がたくさん出た上にスタディほどの効果も出なかったというスタディを産んだことだ(NEJM 2004 351 543)。スタディは、その対象や使った薬の用量など、applicabilityに注意しなければならない。
ひるがえって、いま私達が考えている高齢でco-mobiditiesの多いCKD患者はしばしばスタディから除外されている(高齢者がしばしばスタディで除外されていることについてのreviewはZulman JGIM 26 7 2011 )。また、CKDのスタディは多くの場合若く糖尿病で蛋白尿のある患者層を対称にしているが、私達が臨床で目にする高齢CKD患者には実は糖尿病もなく蛋白尿もない人が多い(Ann Int Med 2009 150 717)。
そして、RRR(relative risk reduction)で表現されたスタディも、高齢CKD患者層の人たちでARR(absolute risk reduction)、NNT(number needed to treat)を見直すと効果がミニマルだったり、効果に差がみられる前に亡くなったりする。副作用が多かったり内服しなかったりするかもしれない(これを定量的に示した美しいスタディはArch Int Med 2011 171 923)。
ここで、universal health outcomeという概念が紹介され(J Am Geriatr Soc 2012 60 2333)、興味深かった。血圧、血糖、認知、色々含めたということだろう。しかしそこに行く前に、個々のゴールについてみていくことになった。続く。