2013/11/06

Geriatric Nephrology 15

 以前に別の学会で学んだときの演者で声がエレガントで印象的だった方が、ふたたび今回も(やはりエレガントな声で)お話された。彼女は当時、「リハビリ集中治療」によって機能障害を回復させて自宅に帰すという診療を紹介していた。今回も、透析患者のphysical decline and frailtyについてお話していた。

 腎機能低下と身体機能低下は相関し(Arch Int Med 2009 169 2116)、透析後にとくに著明に低下する(NEJM 2009 361 1539)。その理由として入院による不動、低栄養、体液貯留などあろうが、透析回診すればすぐにも分かるのは「透析治療によるもの(疲労、痛み、喪失感)」だろう。

 転倒は、転倒による身体障害も心配だが、転ぶのではないかという恐れや不安も見逃せない。そして、よく調べられているように死亡率に相関している(血液透析患者では、NDT 2008 23 1396)。そういえばこのあいだAJKDにESRD患者における大腿骨頚部骨折リスクをみたスタディがあった(AJKD 2013 62 747)、そしてそこでもfrailtyが考察されていた。

 Frailty、何と訳してよいかわらないが、Fried definitionによれば以下の三つ以上がある状態を言う:①体重減少、②疲労、③筋力低下、④歩行速度の低下、⑤活動性の低下。患者さん自身は気づいていないこともある。Frailtyがあると、死亡率とか転倒とかいろいろよくない。いろんな程度があって、CSHA Clinical Frailty Scaleというスケールがある。

 どうしたらいいか?①予防、②治せるなら治す、③あるものでそれなりにやる。①②も大事だが、③のリハビリ的な考えが私は好きだ。立って料理できない人に椅子をあげるような考え方だ。帰ったらリハビリの皆さんとよりよいケアについてお話したい。