NETsと言ってもトヨタとは関係ない(あれはNetz)。Neutrophil extracellular trapsの略だ。好中球が自爆して攻撃対象を網に引っ掛け、細胞内の爆弾を全て使って相手を殺そうとする自然免疫だ。抗MPO-ANCA抗体を好中球に振りかけるとこれが起こるらしく、ANCA関連血管炎の病態に関連していると考えられているそうだ(Clin Exp Nephrol 2013 17 631)。日本で主に研究されていることだから、こういうことは日本に帰ってきて初めて知る。
[2016年7月追加]学会で挙げられたレファレンスは必ずしもrelevantでなかった。このあいだ研修医の先生がミニレビュー(J Immunol 2012 189 2689)を読んでいた。日本でもよく研究されているので、MPO-ANCAとNETsについての総説がでていた(日児腎誌 2014 27 81)。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2015/03/03
ニッポンの酸塩基平衡
腎臓内科学会が主催するセミナーをお手伝いしてきた。そこで、生化学のNa+とCl-だけでpH、pCO2、HCO3-を読もうとするニッポンの酸塩基平衡を習った。Na+からCl-をひくと、HCO3-とAGだ。
☆AGが正常(12)、HCO3-が正常(24)ならNa+ひくCl-は36になるはずである。この値が36からはずれている時には酸塩基平衡を疑わなければならない☆
AGを12と仮定すればHCO3-を求めることができる。
HCO3-からpCO2を求めるには、呼吸性の二次的(代償性)反応幅ΔpCO2がだいたいΔHCO3-かける1(個人的には代謝性アシドーシスでは1.2、代謝性アルカローシスでは0.7という人体実験データから得られた係数を使いたいが、面倒だから1にしてしまえということらしい)なことから、
pCO2=40-(25-HCO3-) ⇔ pCO2=HCO3-+15
HCO3-の正常値は24だが、覚えやすいように25に水増しして、マジックナンバー15がうまれるようにしている。これは米国の高名な先生が思いついて日本に伝えたそうだが、私は米国の腎臓内科フェローシップでは習わなかった。
次にpHを計算で求めるが、まずそのために[H+]を求める(logはぱっと計算できないから)。[H+]、pCO2、HCO3-の間にはH-Hの式から次の関係がある;
[H+]=24xpCO2 / HCO3-
で、pH7.40のとき[H+]は40nmol/lで、この周囲でpHの小数点以下+[H+]=80が成り立っていることから、
pH=7.80-[H+]/100
となる。なんというか、個人的にはここまでしなくても生化学でHCO3-を測ったりガスを取ればいいような気がする(静脈血でもいいから)。ただ日本の一般生化学からも酸塩基平衡をひねり出すことができるというのは発見だった。
☆AGが正常(12)、HCO3-が正常(24)ならNa+ひくCl-は36になるはずである。この値が36からはずれている時には酸塩基平衡を疑わなければならない☆
AGを12と仮定すればHCO3-を求めることができる。
HCO3-からpCO2を求めるには、呼吸性の二次的(代償性)反応幅ΔpCO2がだいたいΔHCO3-かける1(個人的には代謝性アシドーシスでは1.2、代謝性アルカローシスでは0.7という人体実験データから得られた係数を使いたいが、面倒だから1にしてしまえということらしい)なことから、
pCO2=40-(25-HCO3-) ⇔ pCO2=HCO3-+15
HCO3-の正常値は24だが、覚えやすいように25に水増しして、マジックナンバー15がうまれるようにしている。これは米国の高名な先生が思いついて日本に伝えたそうだが、私は米国の腎臓内科フェローシップでは習わなかった。
次にpHを計算で求めるが、まずそのために[H+]を求める(logはぱっと計算できないから)。[H+]、pCO2、HCO3-の間にはH-Hの式から次の関係がある;
[H+]=24xpCO2 / HCO3-
で、pH7.40のとき[H+]は40nmol/lで、この周囲でpHの小数点以下+[H+]=80が成り立っていることから、
pH=7.80-[H+]/100
となる。なんというか、個人的にはここまでしなくても生化学でHCO3-を測ったりガスを取ればいいような気がする(静脈血でもいいから)。ただ日本の一般生化学からも酸塩基平衡をひねり出すことができるというのは発見だった。
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