猛暑・酷暑・・・そのうち新しい暑さを表す言葉が現れるにちがいない(極夏、獄夏と書いて「ごくか」など?)ほど厳しい時候、屋内で過ごさざるを得ない方も多いだろう。そんなわけで、久々にお勧めの本を紹介したい。その名も、『先生、このへんどうでしょう?対談から学ぶCKD診療スタンダード』である。
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「診療スタンダード」と銘打つだけあって、読んだらすぐに外来で役立つ内容である。患者の質問などにもよりよく答えられるようになるだろう。このような教育機会が現実にももっとあればよいのにと思う。
専門家と非専門家の対談形式は、得てして専門家が語り、非専門家は聴くというパターンになりがちである。しかし本書は両者ともに専門家であるため、やりとりが丁々発止で心地よい。時にはお互い診療の考え方が違うこともあるが、互いの違いを認め合うポジティブさが、却って雰囲気をよいものにしている。
ただし、あくまで対談の対象は非専門医であるため、内輪ネタで盛り上がって終わりにするのではなく、両者が非専門医に語り掛ける形になっている。そしてそこには上から目線がなく、「初心忘れるべからず」や「知らないことを知っている」といった、専門家ならではの謙虚さが感じられる。
また、どのトピックにも「先人の苦労を偲び、現在の問題・悩みを共有し、未来に希望を託す」という姿勢が通底している。人類の進歩を信じていると言えばややナイーブな楽観主義にも聞こえるが、その一方で「変わるもの」と「変わらないもの」を見極めようとしているのかもしれない。そのことは、随所に出てくる古代から中世に至るさまざまな引用句からもわかる。
もちろん個々に挙げられた個々の治療やその推奨度は何年もすれば変わってしまうだろう。しかし、本書を読んで得られた知識や智恵、そしてクス笑いは、時を越えて残るのではないだろうか。
それにしても・・いったいどんな本なのか?
それは、読んでのお楽しみである。