超音波検査でわかることもあるが、技師さんの腕による部分もあるのではないかと個人的には思う。なので、実際に僕たちが遭遇するときの注意点と治療をどう考えるかを簡単にまとめてみた。個人的にはこのReviewがよくまとまっていると感じた。
・RAAの頻度
成人で1%程度と低いが実際のところは不明であるそうだ。剖検をして見つかる場合なども多い。血管造影検査やCT検査で偶然に見つかる割合としては0.3-2.5%程度。
・RAAの経過
ゆっくりと大きくなる(0.06-0.6mm/year)。
剖検例での腎動脈破裂の報告はない。
非妊娠例での破裂の割合は3-5%で死亡率は10%未満
・原因
繊維筋異形成(35%)
遺伝疾患(Ehlers-Danlon症候群、Kawasaki病)(20%)
感染(梅毒感染)
外傷
手術による損傷
・臨床症状とリスクファクター
60歳以上に典型的に見られる。
女性の割合が72%以上
繊維筋異形成の割合が68%にも及ぶ
症状を呈することは稀(4-23%):腹痛や背部痛や血尿
臨床所見としては:高血圧、腎動脈狭窄音聴取、拍動性の腹部の腫瘤
キーとしては多くの患者が高血圧がある!(なので、若い女性の高血圧を見た際にはこれを鑑別診断の一つにあげることは重要!)
慢性腎不全で発見される患者の割合が4-14%。
側副動脈瘤が7-30%の割合で見られる。
・形など
ほとんどが紡錘状
2/3が動脈の分枝に認められる。
しばしば多発性で10-20%で両側性に見られ、非腎動脈瘤は7-30%
18-68%は石灰化病変を伴っている
8-11%に血栓塞栓を起こしうる。
・治療
無症状:進行速度の経過を見て、初回との増大速度があまりにも早い場合などは手術適応を考える。
症状あり:
・疼痛:NSAIDsやオピオイド
・高血圧:リジノプリルなどのACE-I
・1-1.5cmであれば1−2年のフォローで経過を見ていく。
・1.5cm以上であればコイル塞栓の適応:分岐部は良い適応
・手術:2cm以上の瘤や腎梗塞併発症例や腎動脈破裂症例、本幹の動脈瘤
腎動脈瘤はやはり見つけられればいいが、難しい。
高齢者に多いということであり、高血圧があっても高齢だからと片付けてしまい見つけづらいのかもしれない。
しっかりと病気をうたがえる目を養うことは本当に重要である。