2012/10/18

IVIG

 先日、変わったコンサルトを受けた。「AIDP(ギラン・バレー症候群)の患者さんにIVIGか血漿交換で治療したいが、慢性腎不全があるのでIVIGによる腎障害が心配だ…かといって血漿交換もカテーテル手技にともなう合併症リスクがあるし…どうしましょう?」という。

 IVIGによる腎障害は正直知らなかった。どうやら安定剤に用いられていたsucroseによる高浸透圧性の尿細管障害が主な機序らしい。抗体による炎症なども関係しているが、安定剤をglycinに変えてから腎障害の頻度は減った。

 二糖類のショ糖は、消化管で単糖類に分解されてから血中に入るのが常で、静注で二糖類のまま入ると、生体では分解できないらしい。それで、血中から糸球体で濾過され、尿細管で取りこまれ長期間残り、浸透圧をあげるので水を吸い尿細管細胞が膨満する。

 IVIGで他に知っておくべきは低Na血症だ。これは経験したことがある。大量のたんぱく質による偽性低Na血症もあるが、IVIGがほぼNa-freeなことと、高浸透圧なこと(水を吸う)による真性の低Na血症もある。