IVIGによる腎障害は正直知らなかった。どうやら安定剤に用いられていたsucroseによる高浸透圧性の尿細管障害が主な機序らしい。抗体による炎症なども関係しているが、安定剤をglycinに変えてから腎障害の頻度は減った。
二糖類のショ糖は、消化管で単糖類に分解されてから血中に入るのが常で、静注で二糖類のまま入ると、生体では分解できないらしい。それで、血中から糸球体で濾過され、尿細管で取りこまれ長期間残り、浸透圧をあげるので水を吸い尿細管細胞が膨満する。
IVIGで他に知っておくべきは低Na血症だ。これは経験したことがある。大量のたんぱく質による偽性低Na血症もあるが、IVIGがほぼNa-freeなことと、高浸透圧なこと(水を吸う)による真性の低Na血症もある。