今回はアフェレシスについて話題をふれたいなと思います。
腎臓内科に関わっていると一定頻度で下記のようなコンサルトをうける(ちなみに登場人物はA医師と腎臓医師くんとする。)。
A医師「うーん、患者さんの状態が良くないんだよね。透析で炎症物質とかとったりできない?」
腎臓医師くん「それは何の病気の方ですか?」
A医師「わからないんだよね。ただ、状態が悪くて。。」
こんな会話をする、もしくはされることは多いのではないだろうか?その時に何を適切に行うかという事は常々難しいなと思う。
この答えはこれからのを読んでいただいて皆さんなりに答えが出ればいいなと思う。
まず、重要な事は何をターゲットとするかである。
血液は血球と血漿に分けて考えることができる。
今回は、まず血球に関しての話を行う。ちなみに私たちになじみのある血液透析(IHD:intermittent hemodialysis)も血漿成分の除去を行っている。
血球に関しては、基本的には吸着療法である。
一般的には膜の部分はダイアライザー(透析器)ではないので、カラム(浄化器)と言われる。
☆血球に対してはおもにLCAPとGCAPがある。
①血球の白血球に対して白血球除去療法(LCAP : Leukocyteapheresis)が行われている。
適応疾患:潰瘍性大腸炎
カラム:セルソーバE(潰瘍性大腸炎)、セルソーバCS(関節リウマチ)
カラムの特徴として
下図のように不繊維フィルターを通るときに関与している白血球を除く治療になる。
「治療に関して」
血液流量:30~50ml/h、時間:1時間
血液処理量:1800~3000ml
抗凝固剤:メシル酸ナファモスタット20~50mg/h
で行われる。
この治療は患者さんの両手の肘窩に透析針を穿刺し行う治療である。シャントなどは必要ない事は重要である。
②白血球の中の顆粒球・単級を選択的に吸着する顆粒球除去療法(GCAP:Granulocyteapheresis)が行われている。
適応疾患:潰瘍性大腸炎、クローン病
カラム:アダカラム
カラムの特徴としてはビーズである。酢酸セルロースビーズの粒が3000個以上ふくまれており、ビーズ間に血液が流れ顆粒球・単級が吸着される。LCAPとは違い、リンパ球は吸着はされない。いい点としては、LCAPとは違い目詰まりを起こさないことがある。
「治療に関して」
血流量:30ml/min、時間:1時間
血液処理量:1800ml
抗凝固剤:ヘパリン又はナファモスタットメシル酸塩
ヘパリン:初回1000~3000を初回ワンショット、持続500~1500単位/h投与。
ナファモスタットメシル酸塩:持続20~40mg/h投与。
この治療も患者さんの両手の肘窩に透析針を穿刺し行う治療である。シャントなどは必要ない事は重要である。
まずは、血球に関しての理解は少しは出来たならうれしい。
また、次は数回にわたり血漿成分に関してフォーカスを絞ってみたい。