2012/01/22

idrabiotaparinux

なお、antidoteのある新規抗凝固薬も開発されている。そのひとつがidrabiotaparinuxで、これはfondaparinuxを安定化して週一回の皮下注射でいいように工夫したidraparinuxに、さらにbiotin分子をくっつけたものだ。idraparinuxは、AMADEUS study(Lancet 2008 371 315)でwarfarinと比較されたが、出血のリスクが高くスタディは中止になった。
 これは新規抗凝固薬のなかで大っぴらに失敗が示された最初の例であったが、開発者(と製薬会社のSanofi aventis)があきらめずにこの薬にビタミンB群のbiotinをくっつけて、卵タンパクのavidinを注射すればこの薬がavidinにひっついて血液循環から除けるようにした。
 idrabiotaparinuxをidraparinuxと比較したスタディがPE/DVT患者を対象に行われ(J Thromb Haemostat 2011 9 92)、薬効はidraparinuxとほぼ同じだった。出血リスクもほぼ同じだが、idrabiotaparinuxの投与群で出血したうちの3例にavidinが用いられ、彼らはみんな助かったらしい。現在PE/DVTに対するphase III trialが進行中だ。
 これらの薬はfundaparinuxのイトコであるから、主に尿排泄でありCrClが30ml/min以下の人には用いられない。fundaparinuxのタンパク質結合率が94%(ATIIIに結合)であるから、おそらくこの薬も透析で除くことはできないと思われる。avidinによって血中から除けるのならよいが、どれくらいeffectiveに除けるのかはどこにも書いてない。