2012/01/12

GRA

高血圧の患者さんでどうにも原因が分からない人がいて、鑑別診断に上がったのがglucocorticoid remediable aldosteronismだった。これはその名の通り少量のステロイドで改善するhyperaldosteronismのことだ。病態は、ACTH支配下にある副腎皮質zona fasciculataで、酵素異常(11-beta-hydroxylase)のためaldosterone活性のある18-oxocortisol and 18-hydroxycortisolが大量に作られてしまうことによる。
 家族性、優性遺伝で若い患者が多い。primary hyperaldosteronismにくらべて、低カリウム血症を伴うことは少ないのが特徴だ。原因は不明だが、ACTH支配下にあるためaldosteroneの分泌に日内変動があること、カリウム摂取によりaldosterone分泌が促進されないことなどが考えられている。しかしthiazideを投与すると集合管へのsodium deliveryが増えるため著名な低カリウム血症をきたし、これが診断の手がかりになることもある。
 検査所見ではaldosterone値の上昇とrenin活性の低下(ただしprimary hyperaldosteronismほどではない)がみられ、確定診断は遺伝子検査が主流(以前はdexamethasone stimulation testであった)。治療はphysiologic doseの糖質コルチコイド(prednisone, dexamethasone, hydrocortisoneなど)を寝る前に投与する(朝のACTHサージを抑えるため)。
 [2015年6月追加]上記は先天性のGRAだが、グリチルリチンも同様に11-beta-hydroxylaseを阻害するためアルドステロニズムになる。グリチルリチンが含まれているのは日本では甘草、米国ではblack licoriceだ。