腎臓内科といえば、腎臓固有のいろんな糸球体疾患をたくさん診るのが仕事かと思っていたが実際はそんなことはない。糸球体疾患はそんなに多くないからだ(大学病院にいても)。そんなわけで、FSGSだの膜性腎症だの医学生のころから知っている腎疾患のことを掘り下げて勉強する機会が実はほとんどない。とはいえ回診で「FSGSの組織学的分類は?」とか「二次性FSGSの原因は?」とか聞かれてぱっと答えられないのはさすがにまずい。
FSGSの組織学的分類は、①FSGS NOS(Not Otherwise Specified)、②Collapsing variant、③Tip variant、④Perihilar variant、⑤Cellular variantだ。臨床上最低限知っておくべきことは②が最も予後が悪く、③がもっとも予後がよいということだ(KI 2006 69 920)。他はだいたいその中間(数の少ない⑤についてはKI 2006 70 1783を参照)。
二次性FSGSの原因は?有名なのはHIV(FSGSがあるだけでHAARTの適応になる)だが、他にもネフロン喪失(→適応しようとして糸球体の過濾過、肥大→糸球体硬化)、腎血管拡張(やはり過濾過、妊娠・糖尿病・肥満)、薬剤(interferon、同化ステロイド、pamidronate、etc)、その他の腎炎(lupus、IgA腎症、血管炎など→healing processにおいてサイトカインがたくさん出て糸球体硬化を起こす)など。