2011/10/14

補体の色々

 こないだのatypical HUSから色々派生した。あのとき学んだC3 convertase、それを制御するCFHやCFIの異常はdense deposit diseaseにも見られる。Dense deposit diseaseとは別名membrano-proliferative gromerulonephritis type IIとも呼ばれるまれな腎臓病の一つで、その名の通り電子顕微鏡では墨で黒々と塗ったような帯状の太いelectron-dense depositが基底膜に見られる。
 また補体の話から「そういえばどうして移植腎の抗体拒絶反応(antibody-mediated rejection)ではC4d染色が陽性になるのだろう」という問いが起こり、Handbook of Kidney Transplantation(5版、2010年)を調べると補体のclassic pathwayのことが勉強になった。すなわち抗体が細胞表面に付くとC1qrsが寄ってきて、それがC4とC2を割ってC4b2aができる。
 C4b2aが取りも直さず古典経路のC3 convertaseであり、ここから前に述べたような細胞破壊と炎症惹起が始まる。ところで仕事を終えたC4b2aは様々な仕組みで不活性化され、C4dになる。Factor IとMCP(membrane co-factor protein)はその一つ。C4bもC4dも、細胞表面に共有結合でくっ付いているのでチョットやソットでは取れない。だから抗体による一通りの拒絶反応が起こった後でもC4dは足跡のように残る。