治療抵抗性って一体何だろう?
降圧薬が複数種類入ってもなお、血圧高値の患者さんがおり、マネージメントに窮している状況に出会った。さてさてどうしたものか。何か患者さんをベースにしたやりとりを記されている論文はないものか探してみた。そしたら素敵なシリーズを発見した。
CJASN Attending Rounds
である。知っている方もいるかもしれないが、この特集を読んだ時、衝撃が走った。この特集の価値は単なるお勉強ではなくReal worldを意識し明快に記載されている点にある。目の前の困った患者の問題点と[CJASN Attending Rounds]というキーワードをGoogleで検索するといくつかの論文を容易に見つけることができる。
なお、そこでも症例が紹介されており、下図の7つのステップで考えようとある(CJASN 2011 6 2301)。
治療抵抗性高血圧の7つのステップ
1 治療抵抗性であると確定させる。
3種類以上の降圧薬を内服していても、140/90mmHgを超えること。ただ複数回血圧を測定することが望ましい。
2 「偽」治療抵抗性であるかどうかを確認する。
適切なカフを用いて測定する。適切な休憩(静かな場所で5分以上)の後に測定する。
3 高血圧を起こしうる生活要因を同定する。
食塩の過剰摂取、体重過多を確認する。
4 高血圧を起こしうる薬剤を可能なら中止する。
NSAIDs、COX-2阻害薬、ステロイドやESA製剤など血圧をあげうる薬剤が含まれていないかを確認する。
5 2次性高血圧(分類:副腎、腎臓、それ以外)をスクリーニングする。
OSASも忘れずに鑑別を行う。
6 薬剤での治療(背景にある病態を考え、副作用を最小限にする形で薬剤の併用)
例えば利尿剤にACEIを足すことで、低K血症をある程度防ぐ。
7 高血圧治療の専門医に依頼する。
新たな診断、マネジメントを展開できる可能性があるので、このステップまで来たら相談する。
また以前に、Renal fellow networkでも話題になっていた。なお、追加でより深くResistant Hypertensionを学びたい方はこちら(doi: 10.2215/CJN.06180616)。