今回は前回の延長線上になる話である。
DFPP(Double filtration plasmapheresis : 二重膜濾過血漿交換法)について話をする。
DFPPについてはどういうイメージを持っているだろうか?おそらく
-PE(血漿交換)で事が足りるんだからいらないんじゃないの?
-どんな場面で使ったらいいのかわからないよ。
などの感想が多いんじゃないかなと感じる。
今回の話を読んで少しでも上記の声があー、こんな時に使えばと分かってくれたらうれしい。
まず、DFPPとPEの違いを示す。DFPPの回路は下記のようになる。
ASAHI KASEI homepage より
先にはなしたPEに比べると一つ回路が増えていることが分かる。そして、その回路には血漿成分分画器が設置されている。
★血漿成分分画器
-カスケードフロー(旭化成)
-エバフラックス(川澄化学工業)
膜孔径:0.01μm、0.02μm、0.03μm
この、一つ回路がある事でのメリットとしては
①置換するFFPなどの量を少なくできる。
-下図を見て頂くとイメージしやすいが、血漿を除去して、それを血漿成分分画器で高分子量の物がのぞかれるが、それ以外は血液に変換される。
ASAHI KASEI homepage より
-これも下記の図を見て頂くと分かるが選択的に除いているためである。
ASAHI KASEI homepage より
では、DFPPを使う場面はどんな場面か?
①移植領域(腎移植や肝移植など):ABO不適合移植の際に抗体除去で拒絶を防ぐために行われる。
②神経疾患;重症筋無力症、多発性硬化症、ギランバレー症候群などの抗体関連性の疾患を取り除くのに使用される。
③膠原病関連:SLE、悪性関節リウマチなど
④循環器疾患:閉塞性動脈硬化症、家族性高コレステロール血症
⑤血液疾患:マクログロブリン血症、多発性骨髄腫
⑥皮膚疾患:天疱瘡、類天疱瘡、TENなど
逆にPEを行わなくてはならないものとしては、HUS、TTP、ANCA関連血管炎などである。
★処方について
-処理量:原則、1.0-1.5×血漿量(plasma volume)とする
-血漿量の計算:血漿量(L)=0.07×体重(kg)×(1-Ht) ※体重は理想体重
・血液流量:50~150mL/min
・血漿分離ポンプ流量:血液流量の30%以下
・ドレイン量(カスケードフローから排液される量):分離ポンプ流量(血漿流量)の0-20%程度
★抗凝固:原則ヘパリンを使用
合併症としては、PEより少ないとは言われるが、FFPを使用するため低カルシウム血症などは重要。
本日はDFPPについて触れた。
回路が複雑になり分かりにくい部分もあるが、メリットを考えて使用するのが重要である。
今回のがpart3なので。