蜂蜜には古来から特別な力があると信じられてきたが、そのなかでもbroad-spectrumな抗菌作用に注目して、カテーテルのexit-site infection予防に医療用蜂蜜を塗ろうという試みがAustraliaとNew Zealandではじまっている。
蜂蜜は、高い浸透圧(3000mOsm/kg)、低いpH(3.5)、抗菌ペプチドのMethyl Glyoxal(MGO、働き蜂の咽頭腺から分泌される)、defensin-1、それに過酸化水素などにより、たいていの耐性菌はあっさり殺菌してしまう(FASEB J 24 2576 2010)。考えてみれば抗生物質だってもとはカビから貰ったわけで、自然の知恵を借りる発想は新しいものではない。
しかし、抗生物質は、耐性菌とのイタチごっこを避けられない。たとえば腹膜透析カテーテルなども、MupurocinからGentamicinに移行しつつある(JASN 16 539 2005)。そのGentamicinすらも、最近耐性の緑膿菌がでたと報告があった(PDI 32 339 2012)。だから、異なる多数の機序で殺菌する医療用蜂蜜のほうが、長い目で見て賢明なのかもしれない。
腹膜透析カテーテルでは、HONEYPOTスタディというのが組まれており(PDI 29 303 2009)、結果が近々出るだろう。血液透析カテーテルでは、同じグループがスタディして(JASN 16 1456 2005)、Mupurocinと比べcomparable(劣っていたけど、まあそう悪くない結果)だった。