すごく久しぶりの投稿になってしまってすみません。
この記事を書いている時は、コロナ感染も多い状況で皆さまも本当にお忙しい時期だなと思っています。何年後かに、この時の記事を見て、そんな忙しい時期もあったんだなと振り返れればなと思っています。
腎機能障害とどのように判別していますか?
多くは血清CrからのeGFRを用いて判断していると思います。CKD評価に用いられる尿Alb/Cr比も用いることはありますが、これらの評価は糸球体の障害などを反映している場合が多いとされています。
既知のように糸球体の障害だけが、決して末期腎不全の予後に関わっているわけではないです。
尿細管間質の障害や繊維化も腎不全の予後に関連していることが知られています。ただ、この部分の障害は腎生検によって確定診断される場合が多いと思います。しかし、腎生検ができない症例もいて、尿細管間質障害の判断に血清や尿中バイオマーカーが何十年もの間研究されています。
今回は、AJKD2021の論文が非常によかったので、それを踏まえてまとめたいと思います。
皆さんは、このバイオマーカーを日常臨床でどのように使用していますか?主には、疾患の診断や予後予測、治療適応の可能性の決定に用いられると思います。
尿細管バイオマーカーは2つのカテゴリーに分かれます。
・組織障害や修復を直接的に反映するバイオマーカー
ーKIM-1(kidney injury marker-1)、EGF (Epidermal Growth Factor)、MCP-1(Monocyte Chemoattractant -1)など
・尿細管細胞に関与するものを測定するバイオマーカー
ーα1-マイクロアルブミン(A1M)、馬尿酸、ウロモジュリンなど
このバイオマーカーに関しては、AJKD 2021/5の論文でも触れられています。
尿細管マーカーに関しては、2018年にSPRINT試験のコホートデータを用いて、978人のeGFR<60mL/min/1.73m2の参加者に対してみているものがあ理ます。この研究では、8つの尿中バイオマーカーをみていますが、厳密に血圧コントロールを行なった群でeGFR低下が認められたが、尿中バイオマーカーに関してはeGFR低下があるにも関わらず増加はしませんでした。また、これはACCORD試験のコホートデータでも同様の結果でした。
尿中マーカーに関しては一つの尿中バイオマーカーを使用しての診断意義や予後予測に関しては難しいとされています。ただ、複数のマーカーを用いることで意義が出る可能性はある可能性があるとされています。
なかなか使い分けが難しく、今後も臨床にどのように生かせるかを考えながらおこなえるようにしていきたいと思っています。