また、前回から期間が空いてしまいました。。
今回は、ESA(Erythropoietin stimulating agents) とHIF(Hypoxia inducible factor) について書いていきます。まずは、EPOについて
EPO製剤について
まず、EPO(Erythropoietin)については、1940-50年代にKrumdieckなどが造血をおこす血漿タンパクを指摘したことから始まった。1957年にJacobsonなどがのちにEPOとして認識される腎臓から産生されるものを認識した。
EPOは組織低酸素に反応して腎臓の間質細胞(Blood 2008)から分泌されるアミノ酸糖タンパク質ホルモンである。
1977年にヒトEPOが貧血患者の尿から抽出されて(J Biol chemi 1977)、1983年に遺伝子のクローン化に成功した。1989年に組み替えEPO(ヒトEPO遺伝子のクリーン化によって作られている)がFDAで承認され使用されるようになった。現在ESAとして知られているものが、組み替えEPO製剤である。
ESAに関しての重要な研究
・NHCT:NEJM1998年、1223人の透析患者をHt 42% vs 30%にするようにした場合を比較。Htが高いほうが血管の血栓、死亡率増加、心筋梗塞の比率が増加
→透析患者さんで治療目標は高過ぎないほうがいい
・CHOIR:NEJM 2006年、1432人の透析をしていないCKD患者において、Hbターゲットを13-13.5g/dL vs 10.5-11 g/dLで比較。複合エンドポインント(死亡率、心筋梗塞、うっ血性心不全における入院、全ての入院)でHb 13-13.5g/dLの方で増加。
→CKD患者さんで目標Hbは高くする必要なし
・CREATE:NEJM 2006年、603人の透析をしていないCKD患者において、Hbを13-15g/dLにしても10.5-11.5g/dLにしても心血管イベントのリスクは差はなかった。
→CKD患者さんで心臓を守るという意味でも目標Hbは高くする必要なし
EPOを使用するときに効果がない場合
原因:鉄欠乏性貧血、感染やなんらかの炎症、不適切な透析、重度な副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、血液疾患などを考慮する。
抵抗性であるにも関わらず、増量をし続けることで死亡率の増加(KI sup 2008)、脳卒中を含めた心血管イベントの増加、血液透析アクセスの血栓の増加、高血圧につながることがわかっているので、無闇な投与は控える!
悪性腫瘍患者へのEPO投与(AJKD 2019)
まだ、十分な検証ができていなく結論は出ていないが、多くの研究ではがん患者でEPO投与でHb>12g/dLにすることで死亡率の上昇につながることがわかっている。しかし、癌の進行との関連性はないと言われている。なので、投与に関しては、患者においてリスクとベネフィットを考えて使う必要性がある。
Hbの目標値
KDIGO ガイドラインでは透析患者でESA使用での目標はHb 10-11.5g/dLで、なるべく少ない量のESAで管理する必要がある(鉄欠乏を見逃さないことが重要である。)
しかし、治療目標は個別化する必要もある。若い人に対しては、QOLの点でも高めに設定する場合がある。
次はHIFについて記載したいと思います。少しでも多くかけるように頑張ります!