慢性腎不全や末期腎不全に伴い心血管リスクが上昇することは以前から示されている(NEJM 2004)。
CKDを持っているかどうか、糖尿病を持っているかどうかで末期腎不全への移行の割合、心血管死亡の割合も大きく異なる。
JASN 2005 |
USRDS 2005より |
上記のデータを見てもわかるように心血管疾患においてCKDは大きなリスクの要因となっている。
では、なぜ多いのか?
理由としては、Traditional riskとNon-Traditional risk に分けて考えるとわかりやすい。
Traditionalなもの(CKDでない人でも起こしうるリスク)としては
・高血圧
・高脂血症
・年齢
・糖尿病合併
などが挙げられる。
Non-Traditionalなもの(腎臓が悪い人に起こりうるリスク)としては
・治療の影響(steroidなど)
・炎症
・酸化ストレス
・CKD-MBD
・心筋の変化
・高尿酸血症
・動脈石灰化
・体液過剰
などが挙げられる。
2010年に本邦から出された論文でCKDの進行とともに冠動脈の閉塞の割合が増加することが剖検症例から示された(AJKD 2010)。
では、このNon-Traditional riskのもので炎症や酸化ストレスどうなのか?2004年のKIでCKDの進行とともに炎症や酸化ストレスを示すマーカーは上昇していることが示されており、やはり関連性はあると考えられている。
また、CKDの進行とともに冠動脈の石灰化が進行することも様々な論文で示されている。
炎症や酸化ストレスなどの様々な要素→石灰化の進行がおそらくは一つの要因ではないかと考えられている。ただ、どうして石灰化しやすいのか?などは色々な論文も出ているが、不明確な部分も多い。