2016/05/24

RRL

 泌尿器科のことも勉強しなければならないなと思う。珊瑚状結石などが腎盂腎杯に居座って慢性炎症が持続すると、二次性に腎洞や腎表面に脂肪が増生し、それがどんどん成長すると腎が押し広げられつつ萎縮し(上図、EURORAD Case 11934)、ついに脂肪に置き換えられて完全に消えてしまう(下図、Int J Surgery 2010 8 263)。これをrenal replacement lipomatosis(RRL)とかreplacement lipomatosis of kidney(RLK)とかいう(Indian J Nephrol 2010 20 92、Indian J Urol 2012 28 105)。知らなかった。



 原因は石関連がほとんどだが、まれに腎TBとの合併(Eur Radiol 2002 12 810)や移植腎との合併も報告がある(Transplantation 2005 79 496、Br J Radiol 2005 78 60、Case Report in Transplantation 2011 Article ID 161759)。腎実質内に脂肪増生が起こることもあり(xanthogranulomatous pyelonephritis、XGP)、これは尿路感染症によることが多いがRRLと共存したり(Int J Urol 2004 11 44)皮膚と瘻孔をつくったり(Clin Imag 2005 29 356)する。腫瘍との鑑別が難しく腎摘を要することも多い。
 腎洞の脂肪増生(renal sinus lipomatosis、RSL)じたいは加齢やステロイド使用などで両側におこるプロセスだが、腎を押し広げるほどのRRL/RLKはほぼ(ほぼほぼ?)100%片側性だ。両側性はIndian J Radiol Imaging 2002 12 251しかみつからなかった。
 慢性炎症がどうして脂肪増生になるのかはよくわかっていない。論文によっては腎の障害が脂肪増生を起こすというが根拠は書いてない。萎縮腎はいくらでもみるが脂肪増生を続発することは稀だ。やっぱり慢性炎症が脂肪増生を起こすのだろう。脂肪組織がTNF-αなど炎症サイトカインを出すことはあったと思うけど、逆は知らない。