ICUで働いているが、AKIに対しての認識(mortalityのindependent risk factor)が甘くアセスメントが曖昧(なんとなく輸液)と感じる。どうして尿沈査をみないんだろう、簡便で非侵襲的で有用な情報が得られるのに…と他人事のようにぼーっと思案していたが、それを広めるのが私の役目だろうが!と頭を金槌でなぐられたような気分になった。私がこの病院にいる限り、この病院の研修医は少なくともこの写真をみて所見を言えて、臨床的意義を理解し、どうマネジメントするかを知らなくてはならない。
私からしたら基本的なことだが、それは私がそういう訓練を受けたからだ。逆に、まだこれを見て研修医が「円柱は円柱だけど…うーん…よく分からないです…何か小っさくてワサワサしたのがいっぱい入ってるけど…」とか自信なさげに答えるのは、そういう訓練を受けてこなかったからだ。私からしたら尿沈査などよりよほど煩雑で面倒くさい(服が汚れる)Gram染色を研修医が嬉々としてやるのは、そういうふうに動機づけられているわけで、尿沈査も「布教」しなければならない。そしてその主唱者は、私だ。
でも、ひとりでやるのは、大変だなあ…。いつのまにか遠心分離機が倉庫にしまわれてしまったように、うちの腎臓内科では腎臓病のアセスメントに尿沈査を活用することが慣習化しなかった。半年自分なりに「布教」したのに誰も「改宗」してくれなかったのは残念だが、慣習はそう簡単には変わらないから仕方のないことで、これから少しずつやっていけばいい。とりあえず、ICUのAKIは尿沈査を研修医(場合によっては後期研修医)に見せるようにしよう。