2014/01/17

血漿交換 1 (aka ABOi kidney transplant)

 じつは、私が前にいた施設では血漿交換を病理部がやっていた。病理部というか、輸血部・検査部という感じだったが、とにかく腎臓内科は(血漿交換に使うカテーテルの挿入も含めて)タッチしなかった。これは改善されるべき問題で、さもなければフェローシップを卒業してから自分で学ばなければならない。

 そんなわけで、ABO不適合の移植前血漿交換はAB型のFFPで置換する、とか聞いても最初は「何のことやら」だった(抗A、抗B抗体をふくまない血漿を選択するといわれれば納得だが;そもそもABO不適合移植じたい、前いた施設では少なくとも私がいた2年間では1件もなかった…レクチャは受けたが)。それで、いま勉強している。

 たとえばABO不適合移植の場合、昔は脾摘していたがRituximabを使うようになってからはしないという歴史的な背景、Rituximabは200mg投与が多い(が人により100mgだったり500-1000mgだったり、1回だったり複数回だったりする)、血漿交換は抗A・抗B抗体が16倍以下を目標にしている、などについて論文で読んだ(Transplantation 2011 91 853)。

  またASFA(American Society for Apheresis)によるガイドライン(J Clin Apher 2013 28 145)も入手した。この文献は、ABO不適合の移植前脱感作をRecommendation Grade 1B、Category Iに分類しているのみならず、教科書的記述もあって分かりやすい。

 まずABO不適合にはmajor incompatibility(レシピエントの抗A・抗B抗体によりドナー臓器の内皮細胞にあるA抗原・B抗原が攻撃され超急性・急性の体液性拒絶を起こす)、minor incompatibility(ドナー臓器に含まれるリンパ球が抗A・抗B抗体を産生してレシピエントに溶血性貧血を起こす)がある。

 Rituximabが主流だがbortezomibなどほかの免疫抑制剤が用いられることもあるし、これらの他にステロイド・MMF・CNIなども用いられるが、universalなレジメンはない。移植後に抗体価があがってくることはあるが、それらが全てAMR(antibody-mediated rejection)なわけではない(PPVは低いがNPVは高いということ)。腎生検でのC4d positivityについても同様で、それすなわちAMRなわけではない。つづく。