2012/12/21

SPK v. PALK

 一型糖尿病で膵腎同時移植(simultaneous pancreas kidney, SPK)を待つのと、living donorからの腎移植をしてから単独膵移植を待つ(pancreas after living donor kidney, PALK)のと、どちらがよいか。この問いに答えるために、それぞれのオプションを比較検討してみよう。

 SPKを選択したばあい、状態のよい膵を移植するため必然的に移植腎の状態もdeceased donor kidneyのなかではよいとされる。透析から離脱できると同時にインスリンが不要になる。移植膵の生存は、SPKのほうがPALKより優れている。というのも抗原性が高く拒絶を起こしやすいがその早期発見が難しい膵の代わりに、Crがsentinel markerになるからだ。

 一方、deceased donor由来なのでwaitlistに載って移植まで待たなければならない(待ち時間は州や施設により異なり、短ければ一年以内だが)。PALKを選択するのは、"a bird in the hand is worth two in the bush"という考え方、つまり来るか分からないSPKを待つより確実にいる適合living donorから腎だけでも移植しようということだ。

 10年近く前の文献ではSPKとliving donor kidney transplant(LDKT)はpatient survivalもgraft survivalも変わらないとされていたが、2年前にやはりUNOS/SRTRを分析したら、patient survivalも(腎)graft survivalもPALK、LDKT、SPKの順であった(Tarnsplantation 2010 89 1496)。膵についてはそれまで通りSPK、PALKの順。

 これをどう実際に援用するかはケースバイケースだ。一日も早く透析から離脱したいという考えもあろう。SPKでインスリンからも離脱したいという考えもあろう。SPKを選択し、10年かそこらたって腎機能が(CNI toxicityか何かで)悪化したらその時living donorに二度目の腎移植をお願いするという考えもあろう(ことに患者さんが若ければ)。