前回の投稿でsuPARとCKDについて記載した。これは、Nephrologyの2015年のインパクトのあるもので14番目にランクされた(ちなみにこの年の1位はSPRINT trial)。
今回、nature medicineから基礎の分野であるがsuPARに関する論文が発表され、2016年のインパクトのある論文の1位を獲得しているので見ていただきたい。
この論文は
タンパク尿の増加は腎疾患(糖尿病や高血圧や遺伝子異常や薬物や感染や原因不明なもの)の特徴である。suPARは前述した様にCKDの進行や発症に関連がある。例えばFSGSなどとの関連性もある(Nat med 2011)。
しかし、suPARの上昇が未来の腎疾患の予測になるかは不明確であり、今回の論文では骨髄由来のimmature myeloid cellsがsuPAR上昇に関連あるものとして、動物実験でsuPAR高値を持つタンパク尿を有する動物の増加したGr1(lo) myeloid cellsを健康なマウスに導入しsuPARとタンパク尿を有する腎疾患の関連を示すものである。
この論文はとてもよく練られているものであり、今までFSGS(移植後の再発も)やCKDとの関連性が言われていたsuPARがタンパク尿の腎症との関連性があるとのことであり、今後このsuPARを抑えることで腎疾患のコントロールがつきやすくなるのかもしれない。
この様に基礎実験の上に臨床が成り立っていると実感する論文であり、また今後の腎疾患の未来を明るくするものであると感じた。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2016/12/30
2016/12/29
suPARと慢性腎不全(CKD)~NEJMの論文から~
今回この話題を書いたのは、個人的に興味があったのと次の投稿に書かせていただくアメリカのサイトで2016年の論文でインパクトが強かった腎臓の論文に関連するためである。
まず、suPARと慢性腎不全に関しては、NEJMの2015年の論文がいいと思う。
まず、そもそもsuPARに関してだが、suPARはsoluble urokinase-type plasminogen activator receptor の略であり、可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体である。
suPARに関しては様々な分野で取り上げられている(呼吸器領域や循環器領域や腫瘍領域)。腎臓の領域に関してはsuPARが微小変化群や膜性腎症と異なり、一部のFSGS患者で特異的に上昇している報告がある(CJASN November 07, 2014 vol. 9 no. 11 1903-1911)。
このNEJMの研究では、心カテーテル検査受検者の大規模血液標本登録であるEmory Cardiovascular Biobankから3683例の血中suPAR値を同定し、腎機能を評価(平均年齢 63歳、65%が男性、suPARの中央値が3040pg/ml)。
そのうち2292例で,線形混合モデルを用いてベースライン時のsuPAR値とeGFR,eGFRの変化,CKD発症(eGFR 60mL/分/1.73m2未満と定義)の関連をそれぞれ検討し,Cox回帰モデルにより人口統計学的因子と臨床変数を調整後の相関を解析している。
2016/12/28
血液透析患者とけいれん 治療について
では治療はどうしたらいいであろうか?
□血液透析患者がけいれんした場合に
・血液透析をやめて、必要があれば補液を行い酸素投与を行う。
・透析時に転倒のリスクがない場所に移したり、けいれん中には口に何かを入れない。
・人の応援を呼ぶ(RRSなど)。ほとんどのけいれんは5分以内に頓挫する。
・5分以上持続するなら気道確保やベンゾジアゼピンの点滴を第一選択治療として行う。
□血液検査で血糖・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムや他の電解質を検査する。
□予防に関して
・尿毒症性脳症:透析の開始を行う。
・不均衡症候群:グリセオールの使用を行なったり、初回の透析効率を落としたりしてBUNの変動の幅を少なくする。
・エリスロポエチン治療:ヘモグロビンの急激な上昇を避ける。
・透析の低血圧:体重が適切か?心機能はどうか?などをしっかりと評価する。
□抗けいれん薬の開始
通常の場合と同じであるが、初回けいれん時は抗けいれん薬は開始しない場合が多く、2回目以降にけいれんが生じた場合には抗けいれん薬を導入する。
初回けいれんでも
・脳波でてんかんを疑う場合
・脳腫瘍、脳挫傷、中枢神経障害などの原因があり症状を生じる場合。
・睡眠中に初回の発作が生じた場合
などは抗けいれん薬を導入することを考慮する。
□抗けいれん薬は何がいいか?血液透析患者では。
多く使用されるものはレベチラセタム(イーケプラ)である。他の薬物との相互性が少ない。
使用する場合には500-1000mg/dayで使用する。
他のものではラコサミド(ビムパット)も他の薬物との相互性が少ないため有用とされる。
逆にフェニトインやバルプロ酸などは薬物との相互性が多いため血液透析患者では推奨されない。
□透析で抜けるの?
レベチラセタムやラコサミドなどの新しい抗けいれん薬は透析で除去される。そのため、透析後に血中濃度は下がりやすいため、維持できるように管理する必要がある。
けいれん時の薬物に関しては専門的な部分になることも多い。しかし、新しい薬などは把握しておく必要性があるし、逆に薬物の相互作用が大きい薬を使用している場合には中止なども考えなくてはならない。
けいれんは起こるとびっくりすることが多いが、しっかりとした管理をすることが重要である。
□血液透析患者がけいれんした場合に
・血液透析をやめて、必要があれば補液を行い酸素投与を行う。
・透析時に転倒のリスクがない場所に移したり、けいれん中には口に何かを入れない。
・人の応援を呼ぶ(RRSなど)。ほとんどのけいれんは5分以内に頓挫する。
・5分以上持続するなら気道確保やベンゾジアゼピンの点滴を第一選択治療として行う。
□血液検査で血糖・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムや他の電解質を検査する。
□予防に関して
・尿毒症性脳症:透析の開始を行う。
・不均衡症候群:グリセオールの使用を行なったり、初回の透析効率を落としたりしてBUNの変動の幅を少なくする。
・エリスロポエチン治療:ヘモグロビンの急激な上昇を避ける。
・透析の低血圧:体重が適切か?心機能はどうか?などをしっかりと評価する。
□抗けいれん薬の開始
通常の場合と同じであるが、初回けいれん時は抗けいれん薬は開始しない場合が多く、2回目以降にけいれんが生じた場合には抗けいれん薬を導入する。
初回けいれんでも
・脳波でてんかんを疑う場合
・脳腫瘍、脳挫傷、中枢神経障害などの原因があり症状を生じる場合。
・睡眠中に初回の発作が生じた場合
などは抗けいれん薬を導入することを考慮する。
□抗けいれん薬は何がいいか?血液透析患者では。
多く使用されるものはレベチラセタム(イーケプラ)である。他の薬物との相互性が少ない。
使用する場合には500-1000mg/dayで使用する。
他のものではラコサミド(ビムパット)も他の薬物との相互性が少ないため有用とされる。
逆にフェニトインやバルプロ酸などは薬物との相互性が多いため血液透析患者では推奨されない。
□透析で抜けるの?
レベチラセタムやラコサミドなどの新しい抗けいれん薬は透析で除去される。そのため、透析後に血中濃度は下がりやすいため、維持できるように管理する必要がある。
けいれん時の薬物に関しては専門的な部分になることも多い。しかし、新しい薬などは把握しておく必要性があるし、逆に薬物の相互作用が大きい薬を使用している場合には中止なども考えなくてはならない。
けいれんは起こるとびっくりすることが多いが、しっかりとした管理をすることが重要である。
2016/12/27
血液透析患者とけいれん 原因などについて
血液透析をしていると色々な合併症に遭遇する。多いのは血圧低下などである。
今回取り上げるけいれんは決して稀なものではない(Pediatr Nephrol. 1992;6(2):182.)。
血液透析患者ではけいれんを引き起こす様々な要因があり、血行動態の変動なども起きやすい。
今回は上記に関して少しまとめてみようと思う。
こんな場面であったらどうしよう?
・いつものように患者さんの透析回診を回っていた。Aさんに「今日の調子はどうですか?」と言ったところ、急にけいれんをしだしてしまった。
この人は新規のけいれんである。
もちろんけいれんを止めることが第一であるが、気道確保とどんなけいれんなのかを確認することはけいれんのfirst stepである。
ここで疑問が。。
血液透析患者と非血液透析患者では対応や評価は何か違うのか?
→これに関しては基本的には同じである。ただ、末期腎不全や血液透析患者では考えておかねばならないけいれんの原因はある。
・尿毒症性脳症・不均衡症候群・透析時血圧不安定・アルミニウム脳症・空気塞栓・低血糖・低カルシウム血症・低ナトリウム血症
などは考える必要がある。
透析患者では頭蓋内病変(出血や梗塞や硬膜外血腫)などは考える必要がある。
特に血液透析患者においては下記は頻度が高いのでチェックする必要がある。
・尿毒症性脳症:適切な透析開始後に数日から数週間で神経症状が改善する。
・不均衡症候群:BUNが高値な症例(170mg/dlや60mmol/L以上)や初回透析時にリスクが高い。
・エリスロポエチン刺激因子:EPO刺激因子による血圧上昇により高血圧性脳症を起こす(Int J Artif Organs. 1994;17(1):5.)。しかし、メタアナリシスではESA使用で増加はないとも言われている(J Am Soc Nephrol. 2004;15(12):3154.)。血圧問題ない人にESA投与でけいれんの発症が増えるエビデンスはない。
・薬剤や毒性:様々なものがけいれんを起こす。抗生物質(ペニシリン、セファロスポリン、エトラペネム)、テオフィリン、L-Dopa、リチウム、アシクロビル、高用量のヨード造影剤、カルバマゼピン、メトクロプラミドなどは起こす。そのほかにも多種の薬が起こしうる。
・透析認知症:アルミニウム脳症が少なくなってからは少ない。
透析患者のけいれんを見たときには、通常の鑑別は重要ではあるが特殊なものも考えるべきであり、それは腎臓内科医は知っておかなくてはならないと感じる。
今回取り上げるけいれんは決して稀なものではない(Pediatr Nephrol. 1992;6(2):182.)。
血液透析患者ではけいれんを引き起こす様々な要因があり、血行動態の変動なども起きやすい。
今回は上記に関して少しまとめてみようと思う。
こんな場面であったらどうしよう?
・いつものように患者さんの透析回診を回っていた。Aさんに「今日の調子はどうですか?」と言ったところ、急にけいれんをしだしてしまった。
この人は新規のけいれんである。
もちろんけいれんを止めることが第一であるが、気道確保とどんなけいれんなのかを確認することはけいれんのfirst stepである。
ここで疑問が。。
血液透析患者と非血液透析患者では対応や評価は何か違うのか?
→これに関しては基本的には同じである。ただ、末期腎不全や血液透析患者では考えておかねばならないけいれんの原因はある。
・尿毒症性脳症・不均衡症候群・透析時血圧不安定・アルミニウム脳症・空気塞栓・低血糖・低カルシウム血症・低ナトリウム血症
などは考える必要がある。
透析患者では頭蓋内病変(出血や梗塞や硬膜外血腫)などは考える必要がある。
特に血液透析患者においては下記は頻度が高いのでチェックする必要がある。
・尿毒症性脳症:適切な透析開始後に数日から数週間で神経症状が改善する。
・不均衡症候群:BUNが高値な症例(170mg/dlや60mmol/L以上)や初回透析時にリスクが高い。
・エリスロポエチン刺激因子:EPO刺激因子による血圧上昇により高血圧性脳症を起こす(Int J Artif Organs. 1994;17(1):5.)。しかし、メタアナリシスではESA使用で増加はないとも言われている(J Am Soc Nephrol. 2004;15(12):3154.)。血圧問題ない人にESA投与でけいれんの発症が増えるエビデンスはない。
・薬剤や毒性:様々なものがけいれんを起こす。抗生物質(ペニシリン、セファロスポリン、エトラペネム)、テオフィリン、L-Dopa、リチウム、アシクロビル、高用量のヨード造影剤、カルバマゼピン、メトクロプラミドなどは起こす。そのほかにも多種の薬が起こしうる。
・透析認知症:アルミニウム脳症が少なくなってからは少ない。
透析患者のけいれんを見たときには、通常の鑑別は重要ではあるが特殊なものも考えるべきであり、それは腎臓内科医は知っておかなくてはならないと感じる。
2016/12/26
腎移植後の免疫抑制剤:ステロイドはいらない?
腎臓の移植は移植を受ける人にとっては、透析をしている人であれば透析での時間の制約から脱却することができるし、また多くの内服薬を必要としなくなる。(腎不全の人ではリンの薬や降圧薬などたくさん。。)
しかし、移植を受ける人は免疫抑制剤を飲み続けなければならない。一生である。
基本的にはカルシニューリン阻害薬(主にはタクロリムス)、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)、ステロイドが移植後の免疫抑制剤の維持療法で重要な薬となってくる。
移植直後は腎移植の拒絶反応を抑制するために抗体製剤を使用することが多く、バジリキシマブ(シムレクト)が日本では主に使われる。抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(サイモグロブリン)は日本では使えないが米国では中心的に使われている。
今回、LANCETにHARMONY trialというものが出た。
これは、2008年から2013年までの期間で615人に介入したRCTである。
介入群は3つに分けられ
A:シムレクト投与を行い、タクロリムス・セルセプト・ステロイドの維持療法を行う
B:シムレクト投与を行い、タクロリムス・セルセプト投与を行い、8日目にステロイドの投与を終了する。
C:サイモグロブリン投与を行い、タクロリムス・セルセプト投与を行い、8日目にステロイドの投与を終了する。
患者対象は18-75歳までで、免疫のリスクが低い症例(ABO適合症例など)である。
妊婦などは除外。
一次評価項目:12ヶ月での急性拒絶反応の有無
二次評価項目:グラフト生着率やグラフト機能、NODAT(移植後の糖尿病)の割合、収縮期・拡張期血圧、脂質、体重、移植後感染、悪性腫瘍の割合、傷の治りなどを評価
結論
移植後1年でサイモグロブリン投与はシムレクト投与に比べて有用性がすごく高いというものはない。
免疫のリスクが低い症例ではステロイドの早期の中止は特にやめない場合と異なり優位な差はない。逆に糖尿病のリスクを低下させた。
これは、シムレクトとサイモグロブリンを比較したRCTでは初めてのものである。
限界点としては、症例数がもう少し必要、腎病理の読む人の技量がバラバラ、タクロリムスの血中濃度にばらつきがある、プロトコール腎生検は強制的なものでないなどがある。
患者は内服薬を減らせれば、薬のコンプライアンスもよくなるはずである。
僕らがしっかりとそうできるように努力することが、大事である。
しかし、移植を受ける人は免疫抑制剤を飲み続けなければならない。一生である。
基本的にはカルシニューリン阻害薬(主にはタクロリムス)、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)、ステロイドが移植後の免疫抑制剤の維持療法で重要な薬となってくる。
移植直後は腎移植の拒絶反応を抑制するために抗体製剤を使用することが多く、バジリキシマブ(シムレクト)が日本では主に使われる。抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(サイモグロブリン)は日本では使えないが米国では中心的に使われている。
今回、LANCETにHARMONY trialというものが出た。
これは、2008年から2013年までの期間で615人に介入したRCTである。
介入群は3つに分けられ
A:シムレクト投与を行い、タクロリムス・セルセプト・ステロイドの維持療法を行う
B:シムレクト投与を行い、タクロリムス・セルセプト投与を行い、8日目にステロイドの投与を終了する。
C:サイモグロブリン投与を行い、タクロリムス・セルセプト投与を行い、8日目にステロイドの投与を終了する。
患者対象は18-75歳までで、免疫のリスクが低い症例(ABO適合症例など)である。
妊婦などは除外。
一次評価項目:12ヶ月での急性拒絶反応の有無
二次評価項目:グラフト生着率やグラフト機能、NODAT(移植後の糖尿病)の割合、収縮期・拡張期血圧、脂質、体重、移植後感染、悪性腫瘍の割合、傷の治りなどを評価
結論
移植後1年でサイモグロブリン投与はシムレクト投与に比べて有用性がすごく高いというものはない。
免疫のリスクが低い症例ではステロイドの早期の中止は特にやめない場合と異なり優位な差はない。逆に糖尿病のリスクを低下させた。
これは、シムレクトとサイモグロブリンを比較したRCTでは初めてのものである。
限界点としては、症例数がもう少し必要、腎病理の読む人の技量がバラバラ、タクロリムスの血中濃度にばらつきがある、プロトコール腎生検は強制的なものでないなどがある。
患者は内服薬を減らせれば、薬のコンプライアンスもよくなるはずである。
僕らがしっかりとそうできるように努力することが、大事である。
2016/12/25
腎移植後に血液が濃くなる??(post transplant erythrocytosis)
腎の移植後に血液が濃縮される症例を見たことがあるだろうか?
Posttransplant erythrocytosis(PTE)という。2003年のreviewがあり、それを中心にまとめさせていただいた。
PTEとは腎移植後に持続的にヘモグロビンやヘマトクリットが上昇する病態
塞栓などなく6ヶ月以上持続する。
PTEの疫学
・腎移植のレシピエントに移植後8-15%の割合で生じる。多い報告だと22%と言われる。
・移植後8-24ヶ月後に生じる。
・グラフトの障害を一般的に来さない。
・PTEの報告は減少している(1993-1996までは19%で、1997-2005までは8%であった。)
PTEのリスクファクター
・男性
・拒絶を起こしていない
・腎機能が保持されている
・喫煙やDMなどもリスクをあげる報告がある。
・膵腎同時移植もリスクが上昇する。
ちなみに移植非関連性のerythrocytosisには腎細胞癌、乳癌、肝細胞癌、COPD、脳血管腫などがある。
PTEの原因
・様々なものが関連していると考えられており、現時点でははっきりとした原因は不明。
下記のホルモンが関連があると言われている。
・エリスロポエチン
・ヘマトポエチン成長因子(IGF1;インスリン成長因子、sSCF:血清幹細胞因子)
・RAS(レニンアンギオテンシン系)
・アンドロゲン
多くの研究で上記に対してACE-IやARBが腎移植後のエリスロポエチンの産生を抑制することがわかっている。機序ははっきりとわかってはいないが。
PTEの症状
PTE発症後治療なく、2年で1/4は症状が改善してくる。ただ、残りの人たちは何年も症状が持続し、腎機能障害も来たしてくる。
・60%の症例で症状があり、気分不良、頭痛、無気力、多血症症状、めまいなどが見られる。
・10-30%が血栓症状を呈する。
・1-2%が合併症で亡くなる場合がある。
PTEの治療
・Hb<18.5g/dL:ARBやACE-Iは治療の方法の一つ。どちらを選択するかに関しては患者や処方医の判断でいいとされている。ACE-IのがHb降下作用は強く、好まれる。
処方例として
ロサルタン 50mg/dayで開始。100mg/dayまで増量。
それでも改善なければ、エナラプリルに変更し、10-49mg/dayで加える。
・Hb>18.5g/dLは瀉血を行い、ACE-IやARBを導入する。
・ACE-IやARBが効かない時:テオフィリンは効果があると言われている。
腎移植後の血球増加を見たときに、PTEはしっかりと念頭に置いておかなくてはならない疾患である。
自分もしっかりと知識を積んで見たときに驚かないようにしていきたいと感じた。
Posttransplant erythrocytosis(PTE)という。2003年のreviewがあり、それを中心にまとめさせていただいた。
PTEとは腎移植後に持続的にヘモグロビンやヘマトクリットが上昇する病態
塞栓などなく6ヶ月以上持続する。
PTEの疫学
・腎移植のレシピエントに移植後8-15%の割合で生じる。多い報告だと22%と言われる。
・移植後8-24ヶ月後に生じる。
・グラフトの障害を一般的に来さない。
・PTEの報告は減少している(1993-1996までは19%で、1997-2005までは8%であった。)
PTEのリスクファクター
・男性
・拒絶を起こしていない
・腎機能が保持されている
・喫煙やDMなどもリスクをあげる報告がある。
・膵腎同時移植もリスクが上昇する。
ちなみに移植非関連性のerythrocytosisには腎細胞癌、乳癌、肝細胞癌、COPD、脳血管腫などがある。
PTEの原因
・様々なものが関連していると考えられており、現時点でははっきりとした原因は不明。
下記のホルモンが関連があると言われている。
・エリスロポエチン
・ヘマトポエチン成長因子(IGF1;インスリン成長因子、sSCF:血清幹細胞因子)
・RAS(レニンアンギオテンシン系)
・アンドロゲン
多くの研究で上記に対してACE-IやARBが腎移植後のエリスロポエチンの産生を抑制することがわかっている。機序ははっきりとわかってはいないが。
PTEの症状
PTE発症後治療なく、2年で1/4は症状が改善してくる。ただ、残りの人たちは何年も症状が持続し、腎機能障害も来たしてくる。
・60%の症例で症状があり、気分不良、頭痛、無気力、多血症症状、めまいなどが見られる。
・10-30%が血栓症状を呈する。
・1-2%が合併症で亡くなる場合がある。
PTEの治療
・Hb<18.5g/dL:ARBやACE-Iは治療の方法の一つ。どちらを選択するかに関しては患者や処方医の判断でいいとされている。ACE-IのがHb降下作用は強く、好まれる。
処方例として
ロサルタン 50mg/dayで開始。100mg/dayまで増量。
それでも改善なければ、エナラプリルに変更し、10-49mg/dayで加える。
・Hb>18.5g/dLは瀉血を行い、ACE-IやARBを導入する。
・ACE-IやARBが効かない時:テオフィリンは効果があると言われている。
腎移植後の血球増加を見たときに、PTEはしっかりと念頭に置いておかなくてはならない疾患である。
自分もしっかりと知識を積んで見たときに驚かないようにしていきたいと感じた。
2016/12/24
利尿剤が効かない!?(利尿剤抵抗性について考える) パート3
利尿薬抵抗性の症例を見たときにアルゴリズムがあるといいなと思うのは僕だけだろうか?
アルゴリズムはその流れに乗ればある程度うまくできるので好きなのだが、もちろんしっかりとなぜこのようなアルゴリズムになっているかなどを考えなくてはいけないと思う。
今回、アルゴリズムを乗せる。
1:アドヒアランスの不良やNSAIDsの使用はないかチェック!!
2:食事で塩分制限はできているか?
3:症例のPK,PDの点から考えて一回の利尿薬の投与量を増量したほうがいいのか回数を増やしたほうがいいのかを考える。
4:経口のループ利尿薬を使用し、ダメなら違う作用の利尿薬を加える(遠位尿細管の薬や近位尿細管作動薬など)
5:点滴投与を考える。ダメなら持続投与も考える。
パート2を読んでいただいた方にはスッと内容が理解できるであろう。
利尿薬抵抗性を乗り越えるために重要な点は
・2つの作用タイプの利尿薬を使用する(ループ利尿薬がファーストライン治療薬)。
・肝硬変症例であればフロセミドとスピロノラクトンの併用が様々なデータの蓄積がある。
・肝硬変以外の併用薬に関してはエビデンスが少ない。なので、小規模の研究からサイアザイドをセカンドラインの治療薬をして推奨されている。
・タンパク尿が出ている症例ではプラスミンの働きでENaCの活性が生じているので、ENaC阻害薬がいいかもしれない。
また、アセタゾラミドがペンドリンの阻害を起こすのでセカンドラインではどうだろうという意見もある。
本当に浮腫は悩まされるし、難しい。
ちなみに今回の症例はフロセミドの投与を行いつつ(しっかりと量と回数を注意して)、あとENaCを阻害するトリアムテレンを使用し、浮腫の改善を認めた。
つまり、今回の症例は
ネフローゼ、慢性腎不全、ENaC亢進などが主に利尿薬抵抗性に関連していたのだろう。
あと、ポイントとして利尿薬はスピロノラクトンとトルバプタン以外は糸球体濾過を受けずに近位尿細管から基本的には分泌されて作用するのはポイントだろう!
どうであろうか?
かなり深く抵抗性に関してかかせていただいた。腎臓内科は利尿薬使用のスペシャリストとしてしっかりと把握しなくてはと常に思う。
アルゴリズムはその流れに乗ればある程度うまくできるので好きなのだが、もちろんしっかりとなぜこのようなアルゴリズムになっているかなどを考えなくてはいけないと思う。
今回、アルゴリズムを乗せる。
2:食事で塩分制限はできているか?
3:症例のPK,PDの点から考えて一回の利尿薬の投与量を増量したほうがいいのか回数を増やしたほうがいいのかを考える。
4:経口のループ利尿薬を使用し、ダメなら違う作用の利尿薬を加える(遠位尿細管の薬や近位尿細管作動薬など)
5:点滴投与を考える。ダメなら持続投与も考える。
パート2を読んでいただいた方にはスッと内容が理解できるであろう。
利尿薬抵抗性を乗り越えるために重要な点は
・2つの作用タイプの利尿薬を使用する(ループ利尿薬がファーストライン治療薬)。
・肝硬変症例であればフロセミドとスピロノラクトンの併用が様々なデータの蓄積がある。
・肝硬変以外の併用薬に関してはエビデンスが少ない。なので、小規模の研究からサイアザイドをセカンドラインの治療薬をして推奨されている。
・タンパク尿が出ている症例ではプラスミンの働きでENaCの活性が生じているので、ENaC阻害薬がいいかもしれない。
また、アセタゾラミドがペンドリンの阻害を起こすのでセカンドラインではどうだろうという意見もある。
本当に浮腫は悩まされるし、難しい。
ちなみに今回の症例はフロセミドの投与を行いつつ(しっかりと量と回数を注意して)、あとENaCを阻害するトリアムテレンを使用し、浮腫の改善を認めた。
つまり、今回の症例は
ネフローゼ、慢性腎不全、ENaC亢進などが主に利尿薬抵抗性に関連していたのだろう。
あと、ポイントとして利尿薬はスピロノラクトンとトルバプタン以外は糸球体濾過を受けずに近位尿細管から基本的には分泌されて作用するのはポイントだろう!
どうであろうか?
かなり深く抵抗性に関してかかせていただいた。腎臓内科は利尿薬使用のスペシャリストとしてしっかりと把握しなくてはと常に思う。
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