ガイドラインは一旦出来るとひろく公開、頒布されてそれが診療のスタンダードになるので、変なものはつくれない。それで、MINDS(medical information network distribution service)という厚労省の外郭団体がサポートしてくれるらしい。まず組織を作って、CQ(clinical questions)を抽出する。基本的にはPICOに基づいてCQを立てるが、CQとPICOのアウトカムをうまくえらばないとその後のsystematic reviewが膨大な作業になるしガイドラインのフレームワークもめちゃめちゃになる。そこで相互査読や作業過程の透明化、アカデミックガイドライン推進班という中立なグループのサポートなどが必要らしい。エビデンスのない領域のCQも、「エビデンスがない」ということを知らせるためにガイドラインに含め、レコメンデーションではなくエキスパートオピニオンを付けるらしい。CQが決まったらsystematic reviewして、レコメンデーションをつくり、ガイドラインを書き、できあがったら公開になる。
現在日本版のAKI診療ガイドライン(日本独自の治療なども反映させたもの)が作成中で、重症敗血症ガイドラインも2016年版(2011年以降のmedical literatureを反映させたもの)が作成中らしい。AKIならKDIGOガイドラインがあるじゃないか(敗血症もsurviving sepsis campaignがあるじゃないか)、日本版と言ったって参照するRCTもメタアナリシスもほとんど海外のものだから作る意味なんかないじゃないか、という声もあるそうだ。しかし、自前でガイドラインも作れない国は、自前で車を作れず輸入車にしか乗れない国と一緒だと演者の先生はおっしゃっていた。さらに、輸入車しかなかった時代に自前で国産車を作ろうとした自動車産業がわが国にどれだけ貢献し世界をリードするまでになったか計り知れない(写真はトヨタの水素電池カーMIRAI)ように、日本医療も最初ま真似でもいいからとにかくまず日本版ガイドラインを作って、そこから新しいエビデンスやレコメンデーションを発信できるようにならなければならないともおっしゃっていた。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2015/06/06
AKI >>> MI
AKIのセッションに参加してきた。最初のお話で衝撃的だったのはAKIの予後が心筋梗塞よりずっと悪いということだ(CJASN 2014 9 448、下図は生存率;一番上のラインが心筋梗塞群、下の二本はAKI群とAKI+心筋梗塞群)。たしかに心筋梗塞はインターベンションが発達しているし早期診断・早期治療が可能なのでだいぶん助けられるようになった。それに対してAKIはMOFの一部として起こる上、介入があまりない(腎代替療法も代替するだけで原因を除く治療ではない)からこういうことになるのだろう。しかしまだ「AKIと心筋梗塞だったら心筋梗塞のほうが大病でしょ」と思っている人が大半と思われるので、これは私にとってはwake-up callだった。
つぎに驚いたのはAKIの歴史だ。100年前、第一次大戦中に出血やcrush症候群による急性腎傷害(当時クレアチニンが測れたか知らない;おそらく乏尿と溢水と尿毒症で診断していたのだろうか)が続出したことからAKIはwar nephritisと名づけられ、第二自世界大戦でドイツ軍による英国の空爆が始まるとCRUSH syndromeと名づけられた。そして1951年に腎臓生理学の父Dr. Homer Smithがacute renal failureという言葉をcoinした。
以後50年以上たって、AKIはICU領域や循環器内科領域で多臓器不全、mortalityのリスク因子として捉え直されはじめたが、当時30を越える定義があったためそれを統一しようと2004年にRIFLE分類がうまれ、2007年にAKIN分類(余談だがわたしが2008年に米国で内科レジデンシーを始めたので、当時ICUローテーションのときにacute renal failureと言って指導医に「いまはAKIだ」と訂正されたのを良く覚えている)、そして2012年にKDIGO分類がうまれたそうだ。
それからイタリアのDr. Claudio Ronco、オーストラリアのDr. Rinaldo Bellomo、ピッツバーグのDr. John Kellumが書いたCritical Care Nephrologyという教科書があると知った。第二版が2008年に出ているが、Amazon.co.jpで5万円もする…。なぜ?2012年にでたDr. RoncoとDr. Bellomoが書いた同じタイトルの教科書はペーパーバックで1万2000円だ。ぱらぱら中を見られればいいのだが…。この領域の人はどちらの教科書を使っているのか尋ねてみたい。新しくて安いならそのほうがいいような気もするけど。
つぎに驚いたのはAKIの歴史だ。100年前、第一次大戦中に出血やcrush症候群による急性腎傷害(当時クレアチニンが測れたか知らない;おそらく乏尿と溢水と尿毒症で診断していたのだろうか)が続出したことからAKIはwar nephritisと名づけられ、第二自世界大戦でドイツ軍による英国の空爆が始まるとCRUSH syndromeと名づけられた。そして1951年に腎臓生理学の父Dr. Homer Smithがacute renal failureという言葉をcoinした。
以後50年以上たって、AKIはICU領域や循環器内科領域で多臓器不全、mortalityのリスク因子として捉え直されはじめたが、当時30を越える定義があったためそれを統一しようと2004年にRIFLE分類がうまれ、2007年にAKIN分類(余談だがわたしが2008年に米国で内科レジデンシーを始めたので、当時ICUローテーションのときにacute renal failureと言って指導医に「いまはAKIだ」と訂正されたのを良く覚えている)、そして2012年にKDIGO分類がうまれたそうだ。
それからイタリアのDr. Claudio Ronco、オーストラリアのDr. Rinaldo Bellomo、ピッツバーグのDr. John Kellumが書いたCritical Care Nephrologyという教科書があると知った。第二版が2008年に出ているが、Amazon.co.jpで5万円もする…。なぜ?2012年にでたDr. RoncoとDr. Bellomoが書いた同じタイトルの教科書はペーパーバックで1万2000円だ。ぱらぱら中を見られればいいのだが…。この領域の人はどちらの教科書を使っているのか尋ねてみたい。新しくて安いならそのほうがいいような気もするけど。
移植がない
日本腎臓内科学会は1959年設立で米国腎臓内科学会よりその歴史は古く、例によって「世界一の」透析成績と移植成績をずっと誇っており、志望者も多く臨床・研究・教育のどの面でも盛り上がっている(それに対して米国腎臓内科はフェローシップ志願者が減り続けて定員割れのプログラムが続出し、フェローの半数以上がIMG;外国で医師免許を取得した者で占められ、危機感は一層増すばかりだ)。そんな学会の雰囲気に触れて元気をもらえた。会場でwi-fiが使えるのもありがたい(引用論文をそのまま引っ張ってくることも出来るし、こんなふうにその場でなんでも書ける)。ただ、ひとつだけ「あれ、ない」と思うのが移植だ。腎移植のセッションがほとんどない。でもそれは、腎移植を移植外科(泌尿器科、腹部外科)がなさってきた歴史的背景を考えれば仕方のないことかもしれない。私はせっかく米国で腎移植も学んできたので、今後もできればかかわりたいと思っている。来月には腎移植内科研究会・学術集会2015が東邦大学大森病院で開かれるので、それに参加してみようかと思う。
2015/06/05
A man is as old as his arteries
少子高齢化社会というが、少子化と高齢化は別の問題で、高齢化というのは(健康寿命が延びることなのだとしたら)社会としての目標が達成されているということなのではないか、という発言を聞いてなるほどと思った。そしてそのあと、高齢化社会の医療がどうあるべきかについての社会福祉的なお話になるのかなと心の準備をしていたら、思いっきり基礎医学のお話で、びっくりしたが白熱した60分だった。ただ話がかなり多岐におよんだのでここにまとめ切れないのと(Klothoのお話はせっかく明日に発見者の黒尾先生がいらっしゃることだし、それも聴いてからにしよう)、スライドの進行がはやかったので引用論文をほとんどメモできなかったのが残念だ。
Sir William Oslerは"A man is as old as his arteries"という至言を残されたが、腎の老化(それは翻ってKlothoのこともあり全身の老化につながるわけだが)は内皮細胞傷害、細動脈の動脈硬化などによる虚血に端を発し、虚血応答が悪くて(VEGFを産生できない、NOが十分に産生できずCathepsin Dが十分に活性化されずplasminogenからangiostatinが作れない、ミトコンドリア内の呼吸鎖コンプレックスIIIから活性酸素が大量にでてしまう;Molecular Cell 2012 48 158←ミトコンドリアルな活性酸素、すなわちmROSは少量だとストレス応答になり身体によいとされているが出過ぎると悪いとかんがられ、このような概念をmitohormesis theoryというらしい)、間質の線維化、尿細管の萎縮、糸球体の虚脱などが起こると考えられている。
しかし内皮細胞は腎臓にだけあるのではない。脳にはneurovascular unitとよばれる相似した構造があるし、膵ランゲルハンス島の血管も糸球体に酷似した構造をとっている。だから慢性腎臓病やアルブミン尿と認知障害は相関するし、高血圧を起こすと膵島の輸入細動脈が傷害され虚血応答で膵島が肥大し線維化も起こす(Trends Endocrinol Metab 2010 21 457←この時期はまだ血糖には変化はみられない)。しかし生活習慣病は内皮細胞の傷害→適応応答→適応不全→臓器不全の流れで進行するというわけなので、高齢者が健康寿命を伸ばすためには、早期に前倒しでこの流れを発見して中年期から先制治療することが重要だと先生は説いていた。
Sir William Oslerは"A man is as old as his arteries"という至言を残されたが、腎の老化(それは翻ってKlothoのこともあり全身の老化につながるわけだが)は内皮細胞傷害、細動脈の動脈硬化などによる虚血に端を発し、虚血応答が悪くて(VEGFを産生できない、NOが十分に産生できずCathepsin Dが十分に活性化されずplasminogenからangiostatinが作れない、ミトコンドリア内の呼吸鎖コンプレックスIIIから活性酸素が大量にでてしまう;Molecular Cell 2012 48 158←ミトコンドリアルな活性酸素、すなわちmROSは少量だとストレス応答になり身体によいとされているが出過ぎると悪いとかんがられ、このような概念をmitohormesis theoryというらしい)、間質の線維化、尿細管の萎縮、糸球体の虚脱などが起こると考えられている。
しかし内皮細胞は腎臓にだけあるのではない。脳にはneurovascular unitとよばれる相似した構造があるし、膵ランゲルハンス島の血管も糸球体に酷似した構造をとっている。だから慢性腎臓病やアルブミン尿と認知障害は相関するし、高血圧を起こすと膵島の輸入細動脈が傷害され虚血応答で膵島が肥大し線維化も起こす(Trends Endocrinol Metab 2010 21 457←この時期はまだ血糖には変化はみられない)。しかし生活習慣病は内皮細胞の傷害→適応応答→適応不全→臓器不全の流れで進行するというわけなので、高齢者が健康寿命を伸ばすためには、早期に前倒しでこの流れを発見して中年期から先制治療することが重要だと先生は説いていた。
ADPKD Center
ADPKDにおいては、基本的に嚢胞が多くて実質が少なくて総腎容量(TKV;total kidney volume)が大きいほど腎予後が悪いわけだが、Mayo ClinicのDr. Vincente E. Torresらは画像診断によってより正確な予後予測とリスクの重層化ができないか研究を続けており、今年その分類を発表した(JASN 2015 26 160)。そこでは、ADPKDがMRI画像に基づいて軽症でおそらくほとんど進行しない1Aからほぼ間違いなく末期腎不全に至る1Eまで五つのステージに分類されている。しかしこれは今のところRCTなどを組む時のためのツールで、MRIの特別な機能(automatic segmentation;J Digit Imaging 2014 27 514)を使わないといけないらしい。ほかにもtexture analysis(虹彩による個人認証のように、腎嚢胞のパターンを分析して予後を予測しようとする研究)、BOLD MRI(酸素消費量をマッピングする技術)、MR elastography(腎の場所別の硬さを見分ける技術)などがメイヨーでは行われているらしい…。さすが学会だ、次から次に新しいことがでてくる。日本にも将来、ADPKDセンターみたいなところができて、これらの技術が応用されるようになるのだろうか。
Stem Cell & Regeneration 1
私が医学生のとき産婦人科の臨床実習でついた指導医は子宮頚がん手術の名人だったが、その先生がある日「本当は子宮頚がんなんてHPVワクチンで撲滅されて俺の技術が要らなくなるのが一番いいんだよな」とぽろりと本音をもらした。そのとき、先生の心意気に感動したことを私はいまでも覚えている。同じように、私も「いつか末期腎不全に再生医療が行われるようになって、透析も(生体・献腎)移植も要らなくなったらどんなにいいか」と本気で思っている。以前に参加した米国腎臓学会の開会式(につづくstate-of-the-art talk)も再生医療がトピックで同じことを考えたと書いたが。自分の学んできた知識や経験の一部が役に立たなくなることなんて、患者さんがハッピーになることに比べたら小さなことだ。
というわけで、せっかく自分の専門科の学会に来たのだから普段は聞けないような話が聞きたいと「幹細胞・再生」セッションに参加してきた。といっても金曜日の午前中だから参加者は少なめだし、部屋も小さかったから、純粋な臨床医だった聴衆は非常に少なかったと思われる(もしかしたら私だけだったかもしれない?)。尿細管の再生にHGF(hepatocyte growth factor;肝細胞の増殖因子なのに腎臓にも効くなんて面白い)が関係しており、またGDNF(glial cell line-derived neurotrophic factor;こちらは神経細胞の生存を維持する因子だが、腎の発生にも関与している)はHGFの存在下でc-Ret / GFRαRに結合し尿細管再生を促進するそうだ(ただしin vitroの実験だが)。というかいまGoogleでHGFを調べたら、なんとネコの慢性腎臓病にはHGF注射がすでに行われているらしい…知らなかった…。
あとはさまざまな動物モデルで腎に幹細胞を注射して効果を見る発表がつづいた。虚血後再潅流によるAKIモデルの実験は臨床家としては「ATNなんて時間がたてば徐々に回復するから幹細胞の効果とは言えないんじゃないかな?」とも思ったが、まあいいか。幹細胞もいろいろで、ヒトの乳歯の歯髄からとったもの(SHED;stem cells from human exfoliated deciduous teeth)、MSC(mesenchymal stem cell;ANCA関連血管炎にすでに臨床応用されているという…Mayo Clin Proc 2013 88 1174)←ただし組織因子が増えて凝固傾向になるため、韓国や中国でこの治療を受けた患者さんが肺塞栓で亡くなっているらしい;それで組織因子が少なくなるように培養液を薄めたLASC(low serum cultured adipose tissue-derived mesenchymal stromal cells )が安全かもしれないという発表があった、DFAT(de-differentiated fat)細胞、iPS細胞由来のOSR1+ / SIX2 +中間中胚葉細胞、K(idney)-iPS細胞など。
K-iPSはメサンギウム細胞由来のものがオーストラリアの研究室でまず作られ(JASN 2011 22 1213;18歳男性の腎臓から採取され培養されたらしい…腎摘の検体だろうか)、尿から尿細管由来のものがオーストリアの研究室で作られた(JASN 2011 22 1221)。再生腎をつくるには、分化前のepigenetic memoryを残した腎由来の幹細胞から作るほうがやりやすいのかもしれない。まだ「再生腎ができました」という発表はなかった(そんなものがあったらとっくに報道されているだろうから無理もない)が、再生医療の研究をしている人たちが日本にこんなにいるんだなあというのが分かって嬉しかった。明日も同じトピックのセッションがあるので聴こうと思う。あとセッション最後の発表が、iPS細胞からEPO産生細胞を作製して慢性腎臓病モデルのマウス腎臓に10万個打ち込むと、貧血が改善するだけでなく、Hgbが16週間一定に維持され、多血症にもならなかったというのが興味深かった。細胞が賢くてHgb濃度を一定にするようにEPOを調節して産生してくれるのだとしたらすごい。
というわけで、せっかく自分の専門科の学会に来たのだから普段は聞けないような話が聞きたいと「幹細胞・再生」セッションに参加してきた。といっても金曜日の午前中だから参加者は少なめだし、部屋も小さかったから、純粋な臨床医だった聴衆は非常に少なかったと思われる(もしかしたら私だけだったかもしれない?)。尿細管の再生にHGF(hepatocyte growth factor;肝細胞の増殖因子なのに腎臓にも効くなんて面白い)が関係しており、またGDNF(glial cell line-derived neurotrophic factor;こちらは神経細胞の生存を維持する因子だが、腎の発生にも関与している)はHGFの存在下でc-Ret / GFRαRに結合し尿細管再生を促進するそうだ(ただしin vitroの実験だが)。というかいまGoogleでHGFを調べたら、なんとネコの慢性腎臓病にはHGF注射がすでに行われているらしい…知らなかった…。
あとはさまざまな動物モデルで腎に幹細胞を注射して効果を見る発表がつづいた。虚血後再潅流によるAKIモデルの実験は臨床家としては「ATNなんて時間がたてば徐々に回復するから幹細胞の効果とは言えないんじゃないかな?」とも思ったが、まあいいか。幹細胞もいろいろで、ヒトの乳歯の歯髄からとったもの(SHED;stem cells from human exfoliated deciduous teeth)、MSC(mesenchymal stem cell;ANCA関連血管炎にすでに臨床応用されているという…Mayo Clin Proc 2013 88 1174)←ただし組織因子が増えて凝固傾向になるため、韓国や中国でこの治療を受けた患者さんが肺塞栓で亡くなっているらしい;それで組織因子が少なくなるように培養液を薄めたLASC(low serum cultured adipose tissue-derived mesenchymal stromal cells )が安全かもしれないという発表があった、DFAT(de-differentiated fat)細胞、iPS細胞由来のOSR1+ / SIX2 +中間中胚葉細胞、K(idney)-iPS細胞など。
K-iPSはメサンギウム細胞由来のものがオーストラリアの研究室でまず作られ(JASN 2011 22 1213;18歳男性の腎臓から採取され培養されたらしい…腎摘の検体だろうか)、尿から尿細管由来のものがオーストリアの研究室で作られた(JASN 2011 22 1221)。再生腎をつくるには、分化前のepigenetic memoryを残した腎由来の幹細胞から作るほうがやりやすいのかもしれない。まだ「再生腎ができました」という発表はなかった(そんなものがあったらとっくに報道されているだろうから無理もない)が、再生医療の研究をしている人たちが日本にこんなにいるんだなあというのが分かって嬉しかった。明日も同じトピックのセッションがあるので聴こうと思う。あとセッション最後の発表が、iPS細胞からEPO産生細胞を作製して慢性腎臓病モデルのマウス腎臓に10万個打ち込むと、貧血が改善するだけでなく、Hgbが16週間一定に維持され、多血症にもならなかったというのが興味深かった。細胞が賢くてHgb濃度を一定にするようにEPOを調節して産生してくれるのだとしたらすごい。
2015/06/04
Stepping on the toes (or not)?
英語で他の専門科領域に踏み込むことをstep on one's toesと言ったりするが、腎臓内科は他専門科とオーバーラップするので他科のつま先を踏むことは避けられない。たとえば内分泌内科などとは、ADH、RAA系、カテコラミン、糖質コルチコイドなどのホルモンでかぶる(電解質異常や二次性高血圧で)。また糖尿病と糖尿病性腎症が密接につながっている(すこしずれるが米国では膵腎同時移植の膵グラフト管理を内分泌科医ではなく移植腎臓内科医がおこなっていた)。PTH、ビタミンDなどもCa、P異常などの原因検索でかぶるし、腎不全による異常なら内分泌内科ではなく腎臓内科がみる。
内分泌内科の診断は、負荷試験などの精密検査が「何時にどんな体位で何を測定してから何を打って何分後と何分後に何を測る;事前にあの薬もこの薬も入っていてはいけない」など厳密にプロトコル化されているのが凄いなと思う。腎臓内科医に一般化は出来ないと思うが、私など例えば原発性アルドステロン症の診断をするのに、「ホルモンが自動であふれ出ているのならちょっとやそっとスピロノラクトンを投与しても抑制などされないでしょ?」と思ってしまう。しかしこういう発言をすると怒られそうだから、おとなしく仰せの通りプロトコルに従っている。まさに、つま先を踏まないように注意しているわけ。
逆に、どちらも手を出さない領域というのもある。たとえばレニン産生腫瘍などは、そもそも稀な疾患なので経験がある施設が少ない。だからこういう時は腎臓内科と内分泌内科(と放射線科)が知恵を合わせることになる。調べてみると造影CTで腎皮質に腫瘍(小さくてもいい;レニン産生腫瘍は傍糸球体細胞の腫瘍だ)をみつけて、選択的腎静脈レニンサンプリングというのをIVRにお願いしてその腫瘍がレニン産生であることを確認する(海外の報告はJ Hypertension 2008 26 368、日本の報告はIntern Med 2013 52 1937)そうだが、この手技がうまく行かなかったという報告も多いから難しい手技なのだろう。
内分泌内科の診断は、負荷試験などの精密検査が「何時にどんな体位で何を測定してから何を打って何分後と何分後に何を測る;事前にあの薬もこの薬も入っていてはいけない」など厳密にプロトコル化されているのが凄いなと思う。腎臓内科医に一般化は出来ないと思うが、私など例えば原発性アルドステロン症の診断をするのに、「ホルモンが自動であふれ出ているのならちょっとやそっとスピロノラクトンを投与しても抑制などされないでしょ?」と思ってしまう。しかしこういう発言をすると怒られそうだから、おとなしく仰せの通りプロトコルに従っている。まさに、つま先を踏まないように注意しているわけ。
逆に、どちらも手を出さない領域というのもある。たとえばレニン産生腫瘍などは、そもそも稀な疾患なので経験がある施設が少ない。だからこういう時は腎臓内科と内分泌内科(と放射線科)が知恵を合わせることになる。調べてみると造影CTで腎皮質に腫瘍(小さくてもいい;レニン産生腫瘍は傍糸球体細胞の腫瘍だ)をみつけて、選択的腎静脈レニンサンプリングというのをIVRにお願いしてその腫瘍がレニン産生であることを確認する(海外の報告はJ Hypertension 2008 26 368、日本の報告はIntern Med 2013 52 1937)そうだが、この手技がうまく行かなかったという報告も多いから難しい手技なのだろう。
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