日本の透析患者さんにおいて悪性腫瘍は死因第三位(一位は心血管系、二位は感染症)で、透析患者さんは高齢なこともあり悪性腫瘍に罹りやすい(Jpn J Clin Oncol 2011 41 752)。透析患者さんに化学療法する時には、薬剤毒性と副作用による合併症のリスクと、抗腫瘍効果のベネフィットを慎重に検討しなければならない。どちらが予後を規定するか分からないからだ(performance statusが低い場合はリスクが高くなるだろう;ひとつには低アルブミン血症で薬剤が血中にfreeで多く存在するようになるからだが)。それでもやる時には、どうするか。透析患者さんに細胞傷害性薬剤を投与する場合の腎用量を提案したレビューがあるそうだ(Ann Oncol 2010 21 1395;高齢非透析慢性腎不全患者のものはEur J Cancer 2007 43 14)。が、古い文献なうえに「薬剤調整は要る」「要らない」「データがない」などとしか記載がなく余り使えないそうだ。モノクローナル抗体は網内系で代謝されるため透析患者さんにも使いやすいとされているが、まだ長期データがないので注意は必要だ。また分子標的薬(nibs)は肝代謝だが、高率に重症高血圧を起こしときにPRESまで合併することから、使用時はきちんと降圧することが重要だ(Bull Cancer 2012 99 371)。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2015/05/31
EGDTという厄介な用語
EGDT(early goal-directed therapy)という厄介な用語を葬るために、米国でPROCESSスタディ(NEJM 2014 370 1683)、豪州とNZでARISEスタディ(NEJM 2014 371 1496)、英国でProMISEスタディ(NEJM 2015 372 1301)、が組まれていたことを腎臓内科でありながら知らなかった。EGDTは特別な肺動脈カテーテルを使った金まみれのスタディで、プロトコルも輸血だのドブタミンだの余計なことをしているから、「速攻で抗生剤、で最初はどっと輸液して、それでもだめなら昇圧剤、そのあとは引きさがる」という割とコンセンサスのある治療戦略をEGDTと言ってしまうと誤解を受ける。だから、これらのスタディが「EGDTは否定された」と言っても、いまいった常識的な輸液戦略を覆すのではないから、誤解しないことが必要だ。それにしても、アルファベット四文字を葬るために4カ国が3つもの別々のスタディを組まなければならないなんて、アングロサクソン系は他国のスタディ結果を信じるということをしない…trust nobody。
New drugs
米国内科学会日本支部総会で『論文30選』を聴いた。この手のセッションは米国の学会ではどこでもやっているんじゃないかと思う、米国腎臓内科学会でもやっているし、米国腎臓財団の学会でもやっていた(これは演者のトークの切れがよく漫談みたいで面白かったことは以前に書いた)。日本のそれは、やっぱり日本の先生方なので真面目な感じで、それはそれで聴き応えがあった。少なくとも寝なかった(私は受動学習すると寝るか質問するかどちらかなのだが、今回は精神的に負担になるから質問するなと主治医に戒められていたので黙っていたのだ)。
いろいろ新しいことがわかって興味深かった。まずLCZ696(名前はまだない;ARBとneprilysin阻害薬の合剤)とACEIのHFrEFにおける生存率に対する効果を比較したもの(NEJM 2014 371 993)。なぜARBと比較しなかったのか気になる。結局valsaltan 320mg/dとenarapril 20mg/dの比較になっているんじゃないかと思ってしまう。でもneprilysinのことが勉強になった。亜鉛をcofactorにするmetalloproteaseで腎にとくに発現しており、natriuretic peptides, bradykinin, adrenomedullinなどを分解するのでそれを阻害すれば生体の心不全に対するcounteractionが引き出されると推察されるということらしい。
次はnintedanib(nibと言うくらいだからTRI;tyrosine kinase inhibitorだ)が肺線維症の進行を遅らせるというスタディだった(NEJM 2014 370 2071)。ただ介入群の6割が下痢をするらしいから止痢薬を併用したほうがいいかもしれない。何人がどうドロップアウトしたかの詳細な表が書いてないが、介入群のloss of follow-upは1年間で2割前後だったからそんなに悪くはなさそうだ。
あとnivolumabの非小細胞癌に対する有効性を調べた論文(J Oncology 2015 33 1)。NivolumabはT-cell活性化には基本のMHC-TCRとco-stimulatory pathwayが必要だが、これを抑制する系であるprogrammed cell death ligand 1(PD-L1)/PD-1シグナリングをブロックするモノクローナル抗体で、黒色細胞腫に用いられるipilimumabの仲間だ(ipilimumabとnivolumabを併用したスタディがNEJMに出た;NEJM 2013 369 122)。これらのモノクローナル抗体は蛋白尿や電解質異常を起こすこともあるので副作用のところは確認したほうがよい(ことは以前に書いた)。
それからchimeric antigen receptor T cell。PD-1L/PD-1シグナルが入ってもco-stimulatory pathwayが関係なく発現するように受容体の細胞内部分にco-stimulatory pathwayのドメイン(たぶんCD28の細胞内ドメイン?)とTCRのドメイン(CD3 ζ←ゼータと読むらしい)がくっつけてある。これをつかうと予後不良なALLで寛解が得られるらしい(NEJM 2014 371 1507)。ここまでくると何を書いているのか正確なことを書いているのか自分でもわからない。「ふーん」でいい気がする、腎障害を起こさない限りは(笑)。
いろいろ新しいことがわかって興味深かった。まずLCZ696(名前はまだない;ARBとneprilysin阻害薬の合剤)とACEIのHFrEFにおける生存率に対する効果を比較したもの(NEJM 2014 371 993)。なぜARBと比較しなかったのか気になる。結局valsaltan 320mg/dとenarapril 20mg/dの比較になっているんじゃないかと思ってしまう。でもneprilysinのことが勉強になった。亜鉛をcofactorにするmetalloproteaseで腎にとくに発現しており、natriuretic peptides, bradykinin, adrenomedullinなどを分解するのでそれを阻害すれば生体の心不全に対するcounteractionが引き出されると推察されるということらしい。
次はnintedanib(nibと言うくらいだからTRI;tyrosine kinase inhibitorだ)が肺線維症の進行を遅らせるというスタディだった(NEJM 2014 370 2071)。ただ介入群の6割が下痢をするらしいから止痢薬を併用したほうがいいかもしれない。何人がどうドロップアウトしたかの詳細な表が書いてないが、介入群のloss of follow-upは1年間で2割前後だったからそんなに悪くはなさそうだ。
あとnivolumabの非小細胞癌に対する有効性を調べた論文(J Oncology 2015 33 1)。NivolumabはT-cell活性化には基本のMHC-TCRとco-stimulatory pathwayが必要だが、これを抑制する系であるprogrammed cell death ligand 1(PD-L1)/PD-1シグナリングをブロックするモノクローナル抗体で、黒色細胞腫に用いられるipilimumabの仲間だ(ipilimumabとnivolumabを併用したスタディがNEJMに出た;NEJM 2013 369 122)。これらのモノクローナル抗体は蛋白尿や電解質異常を起こすこともあるので副作用のところは確認したほうがよい(ことは以前に書いた)。
それからchimeric antigen receptor T cell。PD-1L/PD-1シグナルが入ってもco-stimulatory pathwayが関係なく発現するように受容体の細胞内部分にco-stimulatory pathwayのドメイン(たぶんCD28の細胞内ドメイン?)とTCRのドメイン(CD3 ζ←ゼータと読むらしい)がくっつけてある。これをつかうと予後不良なALLで寛解が得られるらしい(NEJM 2014 371 1507)。ここまでくると何を書いているのか正確なことを書いているのか自分でもわからない。「ふーん」でいい気がする、腎障害を起こさない限りは(笑)。
2015/05/30
遠位ネフロンの遺伝子異常
昨日の投稿でpseudohypoaldosteronism type 1について触れたが、このへんは混乱しやすい(というか初稿で間違えてGordon症候群とか書いてしまった…Gordonは今はFHHとも言われるけど昔はpseudohypoaldosteronism type 2とmisnomerがついていたので;訂正してお詫びします)ので、この際だから遠位尿細管の遺伝子異常とそれが起こす症候群をまとめた表(米国時代に作って米国腎臓内科フェローたちが学びを共有するウェブサイトに載せたもの;クリックすると拡大します)を貼っておく。日進月歩についていくのも大変だが、学んだ知識をretainするのも大変だ。時々振り返らなければならない。
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2015/05/29
すごい時代(aka 持つべきものは優秀なお友達)
ワクチンは希望を感じさせる。打てば病気に罹らないなんて、そんなによい話はない。Jonas Salk先生がピッツバーグ大学時代(おお…なつかしのピッツバーグ…)にポリオワクチンの開発に成功して、大統領まで罹ったポリオはほぼ撲滅された。そして彼はこのワクチンに特許を取らなかった(特許をなぜ取らないのかと聞かれて"There is no patent. Could you patent the sun?"と答えた)のは余りにも有名だ。そして21世紀には高血圧や高脂血症など感染症以外の疾患に対する疾患のJonas Salkが生まれるかもしれない。まず高血圧の論文にであった(doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.114.04534)。
ワクチン技術も現在は進化して、第三世代のDNAワクチンというのがあるそうだ。標的タンパクのDNAをプラスミドに組み込んで細胞にtransfectさせ増殖させ精製したもので、WNVワクチンなどに応用されているそうだが、DNAワクチンを打つとプラスミドが宿主細胞に取り込まれ、細胞内のmachinaryを用いて標的タンパクが転写→翻訳される。タンパクワクチンは分解されるのに対し、DNAワクチンは細胞内に取り込まれるので効果が持続すると考えられている。
このグループは、高血圧をワクチンで治せれば降圧薬を飲まなくても良くなるし、発展途上国など医療にかけるお金のない国にとっても救いになると考えた。こういう視野で研究する人たちもいるんだなあと、その思いつきに感心する。そして、試行錯誤のバイオエンジニアリングの末にアンジオテンシンII(humanかratかmouseかは分からないが;そもそもこれらの種間でアミノ酸配列は違うのかな)とB型肝炎抗原の融合タンパクをコードするDNAワクチンを精製した。
B型肝炎抗原が強い免疫反応を惹起するため、このワクチンを打たれた高血圧ラット(しかも注射針を使わないneedless jet injectorという技術でプシュっとするだけなので痛くないそうだ。ワクチン業界では常識なのかもしれないが、こんな些細な技術にもちょっと感心する)のなかではアンジオテンシンIIとB型肝炎抗原の融合タンパクに対する抗体が作られ、その間(6ヶ月;ラットの寿命は2-3年だそうだ)は降圧と血管ダメージの緩和がみられた。
ただRAA系は神が与えた体液保存の最重要軸なので、それを不可逆的にブロックしてしまうのは心配だ(pseudohypoaldosteronism type 1みたいになってしまうかもしれない)。血圧が下がりすぎたら塩を飲んだり昇圧剤を使ったりするのだろうか…等、よくよく考えると実臨床で高血圧をワクチンで治療するというのは想像ができない。敢えて言うなら利尿剤を含む三種類の降圧剤をmax doseで使ってもコントロールできないような難治高血圧に使えるのだろうか…でもそのなかにRAA系ブロッカーがすでに入っていたらワクチンは追加の効果はないかもしれないし、そういうケースにしか使えないのでは「お金のない人が薬を飲まなくても良くなるかもしれない」という希望から遠ざかってしまう…。でもnever say never、未来は明るく誰にも開かれている。これからの進展を注視したい。
というのも、高脂血症のほうはすでに実用化に向けた治験ODYSSEY LONG TERM studyが行われているからだ(NEJM 2015 372 1489;筆頭著者はなつかしのアイオワ大学…)←なんて偉そうに書いているが米国のお友達が送ってくれて今日知った;やっぱり研究をされた先生は何でもよく知っていて論文も批判的に読んで凄いなあと感心する、持つべきものは優秀なお友達だ。さて、ここで試されているalirocumabはワクチンではなくproporotein convertase subtilisin-kexin type 9(PCSK9)に対するモノクローナル抗体で、PCSK9をブロックするとLDL受容体の破壊が防がれ細胞表面にLDL受容体が溢れLDLが血中から細胞に入るのでLDL値が下がるらしい。
で、その効果をlarge RCTで見たところ、まあNEJMに載るくらいだから結果は明らかでコレステロールが下がり心血管系イベントが減った。なわけだが、モノクローナル抗体なので打ちまくらなければならない(薬屋は大喜びだが)ことと、LDLは「いいのか?」と言うくらい激下がりすることと、神経認知機能障害とか眼障害とか気味の悪い副作用が有意に多いことなど注意も必要だ。ただ家族性高脂血症が被験者の2割程度おり、こういう人たちはしっかり下げてあげないと心血管系イベントは必発だし、スタチンも肝障害とか筋障害とかいろいろ使いにくい薬ではあるので、そういう人たちには適応があるのかもしれない。
ワクチンだのモノクローナル抗体だの、主にリウマチ内科や感染症科や腫瘍内科領域のお話かと思っていた(もちろんそこと腎臓内科はoverlapしているけど)が、高血圧だの高脂血症だのにまで応用されているなんて、本当にすごい時代が来たなと思う。医学は日進月歩だからそれについていかなければならないが、正直ついていけるか不安になる。まあたぶん独りでは無理で、幅広く仲間を頼っていくことが一層重要になるのだろう。腎臓内科というcerebralな科(手技は余りしない代わりに、膨大な知識と臨床的な慧眼と卓越したデータ解析能力によって問題解決を図る科)を選んだから、この道を自信を持って一歩一歩歩いていこう。
ワクチン技術も現在は進化して、第三世代のDNAワクチンというのがあるそうだ。標的タンパクのDNAをプラスミドに組み込んで細胞にtransfectさせ増殖させ精製したもので、WNVワクチンなどに応用されているそうだが、DNAワクチンを打つとプラスミドが宿主細胞に取り込まれ、細胞内のmachinaryを用いて標的タンパクが転写→翻訳される。タンパクワクチンは分解されるのに対し、DNAワクチンは細胞内に取り込まれるので効果が持続すると考えられている。
このグループは、高血圧をワクチンで治せれば降圧薬を飲まなくても良くなるし、発展途上国など医療にかけるお金のない国にとっても救いになると考えた。こういう視野で研究する人たちもいるんだなあと、その思いつきに感心する。そして、試行錯誤のバイオエンジニアリングの末にアンジオテンシンII(humanかratかmouseかは分からないが;そもそもこれらの種間でアミノ酸配列は違うのかな)とB型肝炎抗原の融合タンパクをコードするDNAワクチンを精製した。
B型肝炎抗原が強い免疫反応を惹起するため、このワクチンを打たれた高血圧ラット(しかも注射針を使わないneedless jet injectorという技術でプシュっとするだけなので痛くないそうだ。ワクチン業界では常識なのかもしれないが、こんな些細な技術にもちょっと感心する)のなかではアンジオテンシンIIとB型肝炎抗原の融合タンパクに対する抗体が作られ、その間(6ヶ月;ラットの寿命は2-3年だそうだ)は降圧と血管ダメージの緩和がみられた。
ただRAA系は神が与えた体液保存の最重要軸なので、それを不可逆的にブロックしてしまうのは心配だ(pseudohypoaldosteronism type 1みたいになってしまうかもしれない)。血圧が下がりすぎたら塩を飲んだり昇圧剤を使ったりするのだろうか…等、よくよく考えると実臨床で高血圧をワクチンで治療するというのは想像ができない。敢えて言うなら利尿剤を含む三種類の降圧剤をmax doseで使ってもコントロールできないような難治高血圧に使えるのだろうか…でもそのなかにRAA系ブロッカーがすでに入っていたらワクチンは追加の効果はないかもしれないし、そういうケースにしか使えないのでは「お金のない人が薬を飲まなくても良くなるかもしれない」という希望から遠ざかってしまう…。でもnever say never、未来は明るく誰にも開かれている。これからの進展を注視したい。
というのも、高脂血症のほうはすでに実用化に向けた治験ODYSSEY LONG TERM studyが行われているからだ(NEJM 2015 372 1489;筆頭著者はなつかしのアイオワ大学…)←なんて偉そうに書いているが米国のお友達が送ってくれて今日知った;やっぱり研究をされた先生は何でもよく知っていて論文も批判的に読んで凄いなあと感心する、持つべきものは優秀なお友達だ。さて、ここで試されているalirocumabはワクチンではなくproporotein convertase subtilisin-kexin type 9(PCSK9)に対するモノクローナル抗体で、PCSK9をブロックするとLDL受容体の破壊が防がれ細胞表面にLDL受容体が溢れLDLが血中から細胞に入るのでLDL値が下がるらしい。
で、その効果をlarge RCTで見たところ、まあNEJMに載るくらいだから結果は明らかでコレステロールが下がり心血管系イベントが減った。なわけだが、モノクローナル抗体なので打ちまくらなければならない(薬屋は大喜びだが)ことと、LDLは「いいのか?」と言うくらい激下がりすることと、神経認知機能障害とか眼障害とか気味の悪い副作用が有意に多いことなど注意も必要だ。ただ家族性高脂血症が被験者の2割程度おり、こういう人たちはしっかり下げてあげないと心血管系イベントは必発だし、スタチンも肝障害とか筋障害とかいろいろ使いにくい薬ではあるので、そういう人たちには適応があるのかもしれない。
ワクチンだのモノクローナル抗体だの、主にリウマチ内科や感染症科や腫瘍内科領域のお話かと思っていた(もちろんそこと腎臓内科はoverlapしているけど)が、高血圧だの高脂血症だのにまで応用されているなんて、本当にすごい時代が来たなと思う。医学は日進月歩だからそれについていかなければならないが、正直ついていけるか不安になる。まあたぶん独りでは無理で、幅広く仲間を頼っていくことが一層重要になるのだろう。腎臓内科というcerebralな科(手技は余りしない代わりに、膨大な知識と臨床的な慧眼と卓越したデータ解析能力によって問題解決を図る科)を選んだから、この道を自信を持って一歩一歩歩いていこう。
2015/05/27
Citra-K®
いまの職場はJournal Club(のことをEBMレクチャと命名しているが)があって、論文の批判的吟味が定式化されているので研修医が堂々と発表していて凄いなあと思う。今回はクエン酸カリウムが尿路結石の再発予防に有効化かというトルコのRCTを取り上げていた(J Endourology 2002 16 149;日米ガイドラインどちらもこの論文に依拠しているそうだ)。Randomized open-label prospective studyのper protocol analysisで研究としての質は高くないが、「クエン酸=Ca結石のinhibitor」というのは自明だと思われているから、意外とちゃんとスタディしたものを探そうとするとここまで遡らなければならなかったりする(もう少し最近だとタイのRCTがある;Int Braz J Urol 2011 37 611、メタアナリシスはAnn Intern Med 2013 158 535)。NNTが3-4人だから、結構いい数字だ。
米国だと低クエン酸尿を確認して処方することもできるが、日本では尿クエン酸濃度を提出するのも一苦労(24時間蓄尿はできなかったような…不確かな記憶だが)だし保険で切られるという話だ。クエン酸カリウム(Citra-K®)の代わりにウラリット®があるが、これは名前の通り(urate + lytics)尿酸結石を主に考えられた薬なので保険適応は①高尿酸血症時の酸性尿と②アシドーシス(アバウトすぎるだろ)だ。ただ「酸性尿」と尿pHに着目している点はお洒落で、尿定性で毎回測られているのに無視されがちな尿pHがこれを機会にうちの職場で日の目を見ればいいとおもう。ただCitra-Kと違い、ウラリットは高K血症を怖がってクエン酸Naとクエン酸Kが混ぜてある(のでNa負荷になり、その面では理論上結石予防にマイナスだ)。味は酸っぱいらしい。
米国だと低クエン酸尿を確認して処方することもできるが、日本では尿クエン酸濃度を提出するのも一苦労(24時間蓄尿はできなかったような…不確かな記憶だが)だし保険で切られるという話だ。クエン酸カリウム(Citra-K®)の代わりにウラリット®があるが、これは名前の通り(urate + lytics)尿酸結石を主に考えられた薬なので保険適応は①高尿酸血症時の酸性尿と②アシドーシス(アバウトすぎるだろ)だ。ただ「酸性尿」と尿pHに着目している点はお洒落で、尿定性で毎回測られているのに無視されがちな尿pHがこれを機会にうちの職場で日の目を見ればいいとおもう。ただCitra-Kと違い、ウラリットは高K血症を怖がってクエン酸Naとクエン酸Kが混ぜてある(のでNa負荷になり、その面では理論上結石予防にマイナスだ)。味は酸っぱいらしい。
2015/05/25
Fenoldopam for hypertensive crisis?
悪性高血圧になれば、腎はTMAを起こして壊れるので潜血も蛋白尿も出る。FenoldopamはD1 agonistだが、こういうときに降圧剤として使うと腎保護機能があるとまことしやかに言われている。しかしUpToDateに根拠が載っていないし(こういうの、本当にやめてほしい…)、Google Scholarで調べても悪性高血圧におけるこの薬の有益性をしめす文献が出てこない(心臓手術後のAKI予防を意図してplaceboと比較したRCTでその効果が否定されたのはでてきたが;JAMA 2014 312 2244、あと造影剤腎症予防に効果がなかったというのも)。
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