さてきょうは大晦日で、仕事納めがない人も自動的に仕事納め(明日は仕事始め)になる。それで、腎臓内科の身内を勇気づけるこんな論文(JAMA Netw Open 2018 1 e184852)で2018年を締めくくろうと思う。
「腎臓内科外来は、すべての専門内科のなかで最も大変!」という論文だ。
これはカナダ・アルバータ州の外来患者データを科ごとに解析し、併存疾患数・精神疾患・処方・救急搬送・入院・入施設・死亡など9つの観点(さらに、社会経済的な面も加味)から複雑さの度合いを出して比べたものだ。
それによれば、科ごとの複雑さは次のような順番になった。
1. 腎臓内科
2. 感染症科
3. 神経内科
4. 呼吸器内科
5. 血液内科
6. リウマチ内科
7. 消化器内科
8. 循環器内科
9. 総合内科
10. 内分泌内科
11. アレルギー・免疫科
12. 皮膚科
13. 家庭医療科
論文著者は、「どの科がどうかより、科ごとに違いがあると知るのが大事」といい、「それを支払いに反映させたらどうなるか」などの議論を提案している(政治的だが、元来支払いは手技に重きが置かれてきた、こちらも参照)。
私たちは、どうすればいいか?私は不意に持ち上げられて戸惑った(個人的には、もっと大変だろうなと思う科がたくさんある)。根治療法が限られたり処方する薬の数が多かったり患者さんに申し訳ない思いもある。
それでも、「ありがとう、来年もまたがんばります!」といい気分でよい年を迎えさせてくれる論文ではないか。
そんなわけで、来年もよろしくお願いします。
(このブログが2007年11月にはじまってから、11年が経ちました。12年目も引き続きよろしくお願い申し上げます!)
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2018/12/18
事実は小説よりも奇なり
たまには腎臓以外の臓器にも思いを馳せてみる。
NEJM pictureシリーズ とても面白く興味深いものを提示されることが多い。今回もよくある心不全患者の治療中という状況のはずだったが、、、
話題となったのはこの記事。
慢性心不全の急性増悪で入院した36歳の男性で既往にEF20%の心不全、A弁術後、大動脈瘤に関して血管内治療後、完全房室ブロックに対してペースメーカー留置されている。
呼吸不全の管理のために補助人工心臓とヘパリンを使用していた。咳をしていたところ患者さんの口から噴出したものが下記のもの。
こんなの見たことない。事実の前には自分の常識は通用しない。
"Truth is stranger than fiction. " Lord Byron / George Gordon Byron, 1788-1824
2018/12/15
高ナトリウム血症:Adipsic Hypernatremiaに関して
以前に低ナトリウム血症の投稿でも話したように、低ナトリウム血症も高ナトリウム血症も基本的には水(自由水)の異常である。水に比べ相対的にNaが多くなれば高ナトリウム血症となる。
高ナトリウム血症の原因は、下記のようなイラストにもあるように、過剰なNaの摂取(基本的には人は浸透圧変化→ADH作用→口渇し飲水で高ナトリウムを起こさないが、集中治療室などで飲水できない場合などでメイロンの投与などで起こりうる)浸透圧利尿を生じるマンニトールなどの使用、尿崩症、下痢などでの自由水の喪失、口渇があるのに全く自由水を摂取しないなどが原因としてあげられる。
(※ADH:Anti-Diuretic Hormone 抗利尿ホルモン)
高ナトリウム血症の原因は、下記のようなイラストにもあるように、過剰なNaの摂取(基本的には人は浸透圧変化→ADH作用→口渇し飲水で高ナトリウムを起こさないが、集中治療室などで飲水できない場合などでメイロンの投与などで起こりうる)浸透圧利尿を生じるマンニトールなどの使用、尿崩症、下痢などでの自由水の喪失、口渇があるのに全く自由水を摂取しないなどが原因としてあげられる。
(※ADH:Anti-Diuretic Hormone 抗利尿ホルモン)
今回、Adipsic Hypernatremiaについて話そうと思う。
この言葉は、あまり耳慣れない人も多いのではないだろうか?
人体は口渇により水を飲み、高ナトリウム血症にならないように働く。その重要なキーマンが下垂体後葉から出るADHである。
厳密には、ADHは口渇だけでなく尿Na量も変化させ排尿量も調整を行なっている。
Adipsic Hypernatremiaは日本語では無飲性高ナトリウム血症と言われるように、口渇感がない高ナトリウム血症である。
原因として、口渇が働かなくなる中枢性のものを鑑別にあげる必要がある。
頭蓋咽頭腫、中枢性サルコイドーシス、胚細胞腫、Willis動脈輪の前交通動脈へのClippingや破裂などがあげられる。
Adipsic HyponatremiaにはtypeがありTypeA〜Dまで分かれる。
TypeAはもっとも多いTypeで、口渇を感じることとADHを分泌する上行性の閾値が高くなり、口渇が感じずADHも出ず高ナトリウム血症になるものである。
しかし、原因自体は明確にわかってはいなく浸透圧受容器の障害では?などの議論がある。
TypeBはADHが出てはいるが少量しか出ないものである。原因は浸透圧受容器の一部がなくなることによって起こると言われる。
TypeCは全くADHが出ないことによる。原因はTypeBと異なり、全ての浸透圧受容器がなくなったためによる。
TypeDは診断されることも少なく特に稀である。ADH分泌は保たれているが口渇だけないものである。
もちろん治療はしっかりと水を飲ませることである。
口渇がないが、しっかりと水を飲むことの重要性を認識させる。また、原因疾患となるようなものがないかはチェックすることは重要である。
DDAVPも使用し良好といった報告もあるが、しっかりと自由水摂取させることは忘れてはならない。
※DDAVP:デスモプレシン
この診断をつけるために大事なことは、高ナトリウム血症の患者さんが目の前にいた時に「喉は乾いてますか??」と聞くのが一番大事である!!
「全然乾いてないですよ。」というようであれば、この疾患を想起してほしい。
2018/12/12
間質性腎炎のステロイド投与期間
ここ最近で間質性腎炎の腎生検での報告件数は増えていることはご存知であろうか?
この論文(QJM2015)はスコットランドの報告ではあるが、割合が増加していることが示されている。
また、報告によっては急性腎障害の原因のTop3に間質性腎炎が入っているのではないかとも言われている。
最近は免疫チェックポイント阻害薬のぺムロリズマブやニボルマブによる間質性腎炎の報告も多くなっており、Hot Topicなのではないだろうか?
薬剤性間質性腎炎の際に、治療として薬剤の中止が原則となる。薬剤中止により腎機能が改善する場合も多いが、全く改善しないまま透析や軽度改善したがCKDに移行するということも少なくない(NDT2004)。
薬剤中止以外の治療オプションとしてステロイドを使用する場面も非常に多いと思う。
ただ、薬剤性間質性腎炎においてのステロイド投与の効果は前向き研究などでの証明もされていないが、コホート研究では間質性腎炎の診断後早期に使用したほうがいい結果が出たという報告がある(KI 2008)。
今回、下記の図のようにretrospectiveな研究ではあるが、薬剤性急性間質腎炎における投与期間について述べている論文があったので紹介する。
スペインの13施設で182人の薬剤性急性間質性腎炎(腎生検で証明されたもの)で、ステロイド投与をおこなった研究である。ステロイド投与量に関しては、平均は0.8±0.2mg/kg/dayで開始している(ちなみにUp to dateの記載では、下記のようになっている)。
この研究では、6ヶ月後の腎機能のフォローを行い腎機能の変化を見ている。
間質性腎炎の原因薬剤に関しては、この研究ではNSAIDsが27%、抗生物質が22%、PPIが4%、薬剤の原因が不明が30%となっている。
研究の結果は、完全に改善(41%)も部分的に改善(46%)、改善しない(13%、そのうち半数は維持透析に移行)であった。
改善と改善しないものに関しての違いとして、ステロイドの早期投与と腎生検組織の繊維化(>50%以上)の程度が関連していた。
この研究では、
・腎生検時期から急性間質性腎炎の診断の平均期間は11日(5.75~22 days)であった。これは、日本でも外注の場合に依頼し結果を得るまでにはそのくらいの期間になる。
・治療開始後に腎機能の変化は1ヶ月での反応が重要である。1ヶ月目以降の変化はどの場合でも乏しい(下表参照)。
・投与期間に関してはステロイド開始し3週間以上は高容量で投与しても効果乏しく、またそこから減量していくのも5~6週以上を要しても意味がないことが示された。
つまり、薬剤性急性間質性腎炎の際は
・まずは原因薬剤の中止。
・その後、早期治療!生検を行なった場合には繊維化はどうかはチェック。
・0.8~1mg/kg/dayのステロイド投与を開始。最高でも3週間。
・徐々に減量していき、5~6週以内にはOFFにする。
ということが今回の報告からは言われている。
今後、これについても色々とエビデンスが構築されればなと思う。
また、Twitterでもご意見をいただければ幸いです。
https://twitter.com/Kiseki_jinzo
この論文(QJM2015)はスコットランドの報告ではあるが、割合が増加していることが示されている。
また、報告によっては急性腎障害の原因のTop3に間質性腎炎が入っているのではないかとも言われている。
最近は免疫チェックポイント阻害薬のぺムロリズマブやニボルマブによる間質性腎炎の報告も多くなっており、Hot Topicなのではないだろうか?
薬剤性間質性腎炎の際に、治療として薬剤の中止が原則となる。薬剤中止により腎機能が改善する場合も多いが、全く改善しないまま透析や軽度改善したがCKDに移行するということも少なくない(NDT2004)。
薬剤中止以外の治療オプションとしてステロイドを使用する場面も非常に多いと思う。
ただ、薬剤性間質性腎炎においてのステロイド投与の効果は前向き研究などでの証明もされていないが、コホート研究では間質性腎炎の診断後早期に使用したほうがいい結果が出たという報告がある(KI 2008)。
今回、下記の図のようにretrospectiveな研究ではあるが、薬剤性急性間質腎炎における投与期間について述べている論文があったので紹介する。
CJASN 2018より引用 |
スペインの13施設で182人の薬剤性急性間質性腎炎(腎生検で証明されたもの)で、ステロイド投与をおこなった研究である。ステロイド投与量に関しては、平均は0.8±0.2mg/kg/dayで開始している(ちなみにUp to dateの記載では、下記のようになっている)。
One possible regimen is prednisone at a dose of 1 mg/kg per day (to a maximum of 40 to 60 mg) for a minimum of one to two weeks)
この研究では、6ヶ月後の腎機能のフォローを行い腎機能の変化を見ている。
間質性腎炎の原因薬剤に関しては、この研究ではNSAIDsが27%、抗生物質が22%、PPIが4%、薬剤の原因が不明が30%となっている。
研究の結果は、完全に改善(41%)も部分的に改善(46%)、改善しない(13%、そのうち半数は維持透析に移行)であった。
改善と改善しないものに関しての違いとして、ステロイドの早期投与と腎生検組織の繊維化(>50%以上)の程度が関連していた。
この研究では、
・腎生検時期から急性間質性腎炎の診断の平均期間は11日(5.75~22 days)であった。これは、日本でも外注の場合に依頼し結果を得るまでにはそのくらいの期間になる。
・治療開始後に腎機能の変化は1ヶ月での反応が重要である。1ヶ月目以降の変化はどの場合でも乏しい(下表参照)。
・投与期間に関してはステロイド開始し3週間以上は高容量で投与しても効果乏しく、またそこから減量していくのも5~6週以上を要しても意味がないことが示された。
つまり、薬剤性急性間質性腎炎の際は
・まずは原因薬剤の中止。
・その後、早期治療!生検を行なった場合には繊維化はどうかはチェック。
・0.8~1mg/kg/dayのステロイド投与を開始。最高でも3週間。
・徐々に減量していき、5~6週以内にはOFFにする。
ということが今回の報告からは言われている。
今後、これについても色々とエビデンスが構築されればなと思う。
また、Twitterでもご意見をいただければ幸いです。
https://twitter.com/Kiseki_jinzo
2018/12/06
PIVOTAL 前編
62歳男性、81kg。糖尿病性腎症による末期腎不全のため血液透析をはじめて、4.9年。ヘモグロビン10.6g/dl、EPO32000単位/月(ネスプ®約40mcg/週相当)、フェリチン214mcg/l、TSAT20%。鉄補充はうけていない。
Q:何か問題ありますか?
日本のガイドライン(透析会誌 2016 49 89)は、ESA投与下でHgbが維持できない患者であっても、「フェリチン100未満」と「TSAT20%未満」のどちらも満たさなければ鉄補充療法は推奨していない(1B)。
これより緩和された、「フェリチン100未満」と「TSAT20%未満」のどちらかがあれば鉄補充を提案する(ただし鉄利用障害を除く)、というステートメント3.2もある。しかし、これはなんと「作成ワーキンググループ会議にて全会一致ではなく 2/3 以上の合意をもって採択された唯一の記載」だ。
それくらい、ひとことで言うと(高ESAの害よりも)鉄過剰の害を嫌う。鉄の害とは感染症、酸化ストレス、沈着による臓器障害(要はヘモクロマトーシスのような)、などのことだ。
それで、鉄含有リン吸着薬も「リンが減って鉄も補充できて一石二鳥!」とはならない(残念ながら鉄が少しは吸収されてしまいます・・・という売り方になる)。「補充時にフェリチンが 300を越えないように」という閾値も、世界で最も厳しい。極論すると、フェリチンが一桁でも、現場は意外とこれはまずい!ということにならない(慢性的な消化管出血の除外などは考慮するにしてもだ)。
では実際のところ、鉄の害(以前学会ではこんな話もあった)と高ESAの害ではどちらが悪いか?という話は、日本だけでなく世界各国でされている。それで、実際に鉄補充によるESA反応性改善のメリットと、鉄過剰のデメリットをくらべたPIVOTALスタディが英国で組まれた(DOI: 10.1056/NEJMoa1810742、2018年米国腎臓学会でも注目された)。
冒頭の患者は本スタディの平均的な症例だ。この試験にはフェリチン400未満、TSAT30%未満でESA使用中の血液透析患者が登録された。
なお、4割が透析カテーテルで、6割が内シャントまたは人工血管で透析されていた。
平均2.1年のフォロー中、毎月フェリチンとTSATを測り、高用量群では400mg/月のスクロース鉄をフェリチン700、TSAT40%を越えないように打った(Vifor Pharma社のVenofer®を、同社が無償提供)。
実際の投与量は264mg/月で、フェリチンは650、TSATは28%となった。264mg/月と400より低いのは、最初の数ヶ月で鉄が一気に満たされ、以後は打たなくてよくなったからでもある(下図青線、縦軸はフェリチン)。
いっぽう低用量群では毎月0-400mgのスクロース鉄をフェリチン200以上、TSAT20%以上を保つように加減して投与した。そして実際の投与量は121mg/月で、フェリチンは200、TSATは20-22%であった。
それでどうなったか?つづく(写真の新型スーパーあずさを鑑賞するのは、別の「鉄」分補給。いつかできるかもしれないリニア中央新幹線よりずっと遅いが、車窓はなかなか)。
Q:何か問題ありますか?
日本のガイドライン(透析会誌 2016 49 89)は、ESA投与下でHgbが維持できない患者であっても、「フェリチン100未満」と「TSAT20%未満」のどちらも満たさなければ鉄補充療法は推奨していない(1B)。
これより緩和された、「フェリチン100未満」と「TSAT20%未満」のどちらかがあれば鉄補充を提案する(ただし鉄利用障害を除く)、というステートメント3.2もある。しかし、これはなんと「作成ワーキンググループ会議にて全会一致ではなく 2/3 以上の合意をもって採択された唯一の記載」だ。
それくらい、ひとことで言うと(高ESAの害よりも)鉄過剰の害を嫌う。鉄の害とは感染症、酸化ストレス、沈着による臓器障害(要はヘモクロマトーシスのような)、などのことだ。
それで、鉄含有リン吸着薬も「リンが減って鉄も補充できて一石二鳥!」とはならない(残念ながら鉄が少しは吸収されてしまいます・・・という売り方になる)。「補充時にフェリチンが 300を越えないように」という閾値も、世界で最も厳しい。極論すると、フェリチンが一桁でも、現場は意外とこれはまずい!ということにならない(慢性的な消化管出血の除外などは考慮するにしてもだ)。
では実際のところ、鉄の害(以前学会ではこんな話もあった)と高ESAの害ではどちらが悪いか?という話は、日本だけでなく世界各国でされている。それで、実際に鉄補充によるESA反応性改善のメリットと、鉄過剰のデメリットをくらべたPIVOTALスタディが英国で組まれた(DOI: 10.1056/NEJMoa1810742、2018年米国腎臓学会でも注目された)。
冒頭の患者は本スタディの平均的な症例だ。この試験にはフェリチン400未満、TSAT30%未満でESA使用中の血液透析患者が登録された。
なお、4割が透析カテーテルで、6割が内シャントまたは人工血管で透析されていた。
平均2.1年のフォロー中、毎月フェリチンとTSATを測り、高用量群では400mg/月のスクロース鉄をフェリチン700、TSAT40%を越えないように打った(Vifor Pharma社のVenofer®を、同社が無償提供)。
実際の投与量は264mg/月で、フェリチンは650、TSATは28%となった。264mg/月と400より低いのは、最初の数ヶ月で鉄が一気に満たされ、以後は打たなくてよくなったからでもある(下図青線、縦軸はフェリチン)。
いっぽう低用量群では毎月0-400mgのスクロース鉄をフェリチン200以上、TSAT20%以上を保つように加減して投与した。そして実際の投与量は121mg/月で、フェリチンは200、TSATは20-22%であった。
それでどうなったか?つづく(写真の新型スーパーあずさを鑑賞するのは、別の「鉄」分補給。いつかできるかもしれないリニア中央新幹線よりずっと遅いが、車窓はなかなか)。
T
2018/12/02
Na摂取が高血圧の要因になる!なんで??
投稿の日は僕の大好きな電解質セミナーが開かれている日なので、今日は電解質に関しての投稿にしようかなと思います(ほぼ電解質ではないですが。。)。
高血圧単独で亡くなることは少ないが、高血圧は心血管疾患の最大危険因子であり、脳卒中・心血管死亡の半数以上が高血圧に関連すると言われている。
特に、この塩分摂取に伴う高血圧は日本人では起こりやすいと言われている。
以前は
塩分摂取過剰→腎臓からの尿中へのNa+排泄が追いつかず体液中Na+上昇→血液浸透圧の上昇→血管内に浸透圧勾配で水の流入→血液量が増加し高血圧
全身の血管の交感神経の活性化→血管収縮→高血圧を発症
この最近の説は降圧薬の機序を考えてもCa拮抗薬などは血管拡張作用があり、理にはかなっている。
・Nax:
ナトリウムチャネルの一つで細胞外ナトリウム濃度の上昇に応じて開口し細胞内にナトリウムを流入させる機能を持つ。
脳内器官の一つで交感神経や血圧の制御に関与。
脳内器官の一つで同様に交感神経や血圧の制御に関与。
細胞外のpH低下に反応して開口する陽イオンチャンネル
→Naxが脳内センサーとして関連しているとわかった。
→結論として、OVLTのグリア細胞に発現するNaxが活性化しH+が放出され、ASIC1を開始OVLTニューロンを活性化し交感神経上昇し血圧上昇に関連していることがわかった。また、OVLT→PVN→RVLM(頭側延髄外側野)→脊髄でも同様に交感神経活性化することがわかった(上図参照)。
交感神経のブロック薬や新規の薬が高血圧治療に出てくる可能性がある。
是非、Twitterもフォローしてください!
https://twitter.com/Kiseki_jinzo
まず、高血圧は成人の中で4300万人が罹患しているとされている(本邦で)。
高血圧単独で亡くなることは少ないが、高血圧は心血管疾患の最大危険因子であり、脳卒中・心血管死亡の半数以上が高血圧に関連すると言われている。
高血圧の原因でよく言われるのが塩分摂取過剰である。
特に、この塩分摂取に伴う高血圧は日本人では起こりやすいと言われている。
この原因としては
以前は
塩分摂取過剰→腎臓からの尿中へのNa+排泄が追いつかず体液中Na+上昇→血液浸透圧の上昇→血管内に浸透圧勾配で水の流入→血液量が増加し高血圧
最近は
全身の血管の交感神経の活性化→血管収縮→高血圧を発症
という説が有力になっている。
この最近の説は降圧薬の機序を考えてもCa拮抗薬などは血管拡張作用があり、理にはかなっている。
ただ、交感神経活性化はどこで感知しているのか??というのが今まで未解明であった。
体内のNa濃度上昇→??→交感神経活性化
今回日本人のグループがこれを解明して論文に報告されていたので簡潔に記載しようと思う。ぜひ、論文を読んでくださいね。
まず、キーワードは
・Nax:
ナトリウムチャネルの一つで細胞外ナトリウム濃度の上昇に応じて開口し細胞内にナトリウムを流入させる機能を持つ。
・OVLT(終板脈管器官):
脳内器官の一つで交感神経や血圧の制御に関与。
・PVN(視床下部傍核):
脳内器官の一つで同様に交感神経や血圧の制御に関与。
・ASIC1(酸感受性イオンチャンネル1):
細胞外のpH低下に反応して開口する陽イオンチャンネル
わかりやすい図として、今回の論文のキーになるものを下図に示す。
もともとこのグループは細胞外液Na+濃度上昇に応じて開口するNaxを見出していた。
その後、Nax欠損マウスでは脳脊髄液のNa+濃度を上昇させても交感神経活性化や血圧上昇は起こらなかった。
→Naxが脳内センサーとして関連しているとわかった。
では、どの領域で起こっているのかと言うことを次に調べた。
→結論として、OVLTのグリア細胞に発現するNaxが活性化しH+が放出され、ASIC1を開始OVLTニューロンを活性化し交感神経上昇し血圧上昇に関連していることがわかった。また、OVLT→PVN→RVLM(頭側延髄外側野)→脊髄でも同様に交感神経活性化することがわかった(上図参照)。
今後ここから発展することとしては、降圧薬開発なのではないか?
交感神経のブロック薬や新規の薬が高血圧治療に出てくる可能性がある。
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https://twitter.com/Kiseki_jinzo