高ナトリウム血症の原因は、下記のようなイラストにもあるように、過剰なNaの摂取(基本的には人は浸透圧変化→ADH作用→口渇し飲水で高ナトリウムを起こさないが、集中治療室などで飲水できない場合などでメイロンの投与などで起こりうる)浸透圧利尿を生じるマンニトールなどの使用、尿崩症、下痢などでの自由水の喪失、口渇があるのに全く自由水を摂取しないなどが原因としてあげられる。
(※ADH:Anti-Diuretic Hormone 抗利尿ホルモン)
今回、Adipsic Hypernatremiaについて話そうと思う。
この言葉は、あまり耳慣れない人も多いのではないだろうか?
人体は口渇により水を飲み、高ナトリウム血症にならないように働く。その重要なキーマンが下垂体後葉から出るADHである。
厳密には、ADHは口渇だけでなく尿Na量も変化させ排尿量も調整を行なっている。
Adipsic Hypernatremiaは日本語では無飲性高ナトリウム血症と言われるように、口渇感がない高ナトリウム血症である。
原因として、口渇が働かなくなる中枢性のものを鑑別にあげる必要がある。
頭蓋咽頭腫、中枢性サルコイドーシス、胚細胞腫、Willis動脈輪の前交通動脈へのClippingや破裂などがあげられる。
Adipsic HyponatremiaにはtypeがありTypeA〜Dまで分かれる。
TypeAはもっとも多いTypeで、口渇を感じることとADHを分泌する上行性の閾値が高くなり、口渇が感じずADHも出ず高ナトリウム血症になるものである。
しかし、原因自体は明確にわかってはいなく浸透圧受容器の障害では?などの議論がある。
TypeBはADHが出てはいるが少量しか出ないものである。原因は浸透圧受容器の一部がなくなることによって起こると言われる。
TypeCは全くADHが出ないことによる。原因はTypeBと異なり、全ての浸透圧受容器がなくなったためによる。
TypeDは診断されることも少なく特に稀である。ADH分泌は保たれているが口渇だけないものである。
もちろん治療はしっかりと水を飲ませることである。
口渇がないが、しっかりと水を飲むことの重要性を認識させる。また、原因疾患となるようなものがないかはチェックすることは重要である。
DDAVPも使用し良好といった報告もあるが、しっかりと自由水摂取させることは忘れてはならない。
※DDAVP:デスモプレシン
この診断をつけるために大事なことは、高ナトリウム血症の患者さんが目の前にいた時に「喉は乾いてますか??」と聞くのが一番大事である!!
「全然乾いてないですよ。」というようであれば、この疾患を想起してほしい。