オーストラリア、ニュージーランドはけっこう自前でスタディを組み、その結果が斬新なことが多い。こないだAJKDにでたメタアナリシスも、腎不全患者さんにおいてリン吸着剤と生命予後に「相関はない」というもの(DOI:10.1053/j.ajkd.2016.05.015、日本のスタディもはいっている)。リン吸着剤は心血管病患者さんにおける抗高脂血症薬のようなキードラッグなだけに、真逆な結果すぎてしばらくは無視されるのではないかと思う。
ただ、カルシウム含有吸着剤が非含有(セベラマーだけで、ほかはサンプル数が少ないためか有意差がなかったが)にくらべて生存率が低いという結果はほかの試験でも確認されているので、非含有の吸着剤が標準的になっていくのかなと思う。個人的には、リン値をmmol/lからmg/dlに変えるときには3.095975倍すればいいというのが発見だった。
ガイドラインは質の高くないスタディが根拠なこともおおいが、載れば正典だ。ただ載らない外典にも、ある患者層には役立つのかもしれない。たとえば、毎食前に飲まなければないリン吸着剤を1回にしてみても、結構な人たちでリン値がかわらなかったというスタディがある(AJKD 2006 48 437、対象はセベラマー内服の白人とアフリカ系透析患者、平均年齢は72歳)。