SIADHにおける水分制限を少しでも科学的にする方法はないかと思ったら、New England Journal of MedicineのClinical Practice記事に自由水クリアランスを用いた方法が提案されていた(NEJM 356 2064 2007)。自由水クリアランスは、次のように表される(尿素は細胞内外を自由に出入りするので、"effective solutes"の電解質を用いている)。前の項は、尿中への溶質排泄が増えると自由水排泄が増えることを説明する。尿素によるSIADHの治療でもお馴染だ。
solute excretion / Uosm x (1 - (U-Na + U-K) / P-Na)
今回は後の項に着目する。(U-Na + U-K)がP-Naより小さい時、自由水クリアランスは正となる。この場合、少しは自由水排泄ができるので、水分制限は甘めでもよく、論文では1L以下/日という。それに対して(U-Na + U-K)がP-Naと同じ位か大きい時、自由水クリアランスはゼロか負となる。この場合、腎臓はより水を貯め込むモードなので、水分制限は厳しめ。論文には(自由水クリアランスがゼロで)500-700ml/日、(負で)500ml以下/日とある。