2011/09/16

Zr

 こないだ透析の原理に関するレクチャがあって、教えてくれたのは元々(医師になる前に)メカニクスを専門にしていた物理学者みたいな人でかなり専門的な話だった。数式がたくさん出てきてその手の成書でも読まない限り理解できそうになかったが、有意義だった。

 たとえばconvectionとdiffusionの違いがよりはっきり分かった。日本語では「限外濾過」と「拡散」というふうに説明するので"convection"という言葉をきくたび戸惑っていたのだ。辞書では「対流」と訳されているが、要は風が吹けばホコリも一緒に運ばれ、波が押し寄せれば水と一緒に砂や魚も運ばれるということだ。このように溶質が水と一緒に運ばれることを"solvent drag"という。

 またsorbent dialysisというのもより分かった。これは吸着剤により透析液を再利用しようということだ。活性炭、urease、zirconium phosphate、zirconium oxyde/carbonateの層からなるカートリッジを通過する間に透析液中の汚物が吸着されbicarb、sodium、acetateなど必要な成分が加わる。ジルコニウム(Zr)なんてオシャレだ。

 現在は汎用されていない技術だが、じつは透析液のpurificationとしては簡便な上に効率もよい。災害時など役に立つかもしれないし、セシウムも吸着できるらしいから体内から除染するのに役立つかもしれない。持続的に少量の透析液をポンプでまわし再生し続け、同じポンプで血液を少しずつカテーテルから引いて24時間透析する、wearable dialysis machineの研究も行われている。