2011/09/19

renocide

 急性腎不全でコンサルトが来た頃にはダメージはすでに致命的で腎臓の回復は望めないことがとても多い。まあ要するに、「腎臓がダメになっちゃったので後はよろしく(透析しろや)」と言うわけだ。腎臓内科にいることでselection biasが掛かり、NSAIDs、造影剤、抗生剤、低血圧、さまざまな理由で次々といとも簡単に腎臓がダメになってしまうのを目の当たりにすると悲しくそして虚しくなる。そこで思いついた言葉は、"genocide"から派生した"renocide"。renoは腎臓、cideはkillingということ。
 "The damage is done"、"Kidneys are done"と言うことに未だに抵抗感を感じる。「他の科が何を言おうが関係ない、腎臓内科には彼らに分からないものが分かるんだから、全知を賭けて何としても腎臓を守らなきゃ…!」という使命感があるからだ。これがもう少し経験すると「治るものは治る、治らないものはどうにもできない」という区別が付くようになるだろう。治るものは治し(その道筋を他科の先生方にしっかりつけてあげる)、治らないなら透析までの時間を遅らせたり長生きできるようにしてあげる方法を考える。これは墨守あるいは墨攻に近い。