FcRnは大人にもあって、やっぱりIgGが分解されるのを防ぐ。IgGの半減期は約20日で、ふつうのたんぱくが約5日なのにくらべても長いが、その理由のひとつとして造血系の細胞や血管内皮細胞のFcRnがIgGを守るからと考えられている(J Immunol 2015 194 4595)。
逆に言うと、FcRnがあると身体にわるいIgG(自己免疫疾患とか)がなかなか消えない。それで、これらの疾患でFcRnの働きをおさえる研究もおこなわれている。
たとえば、FcRnに高い親和性で結合するようFc部分を加工して、本物のIgGが守られないようにするとか。これらのお薬カテゴリーをAbdegsと呼ぶらしい(Nat Rev Immunol 2007 7 715)。Ab、すなわち抗体をdegrade、分解するということか。
ほかにも、医薬品が分解されないようFcRnに守らせたり、抗体医薬品のFc部を加工したりするのが流行っている(図はAdv Drug Deliv Rev 2015 91 109)。FcRnで検索すれば日本語でもたくさんサイトが出るし、こないだもGLP-1アゴニストのデュラグルチド(Fcを持っている)が宣伝されているのを目にした。
そんなわけで、今後、日常臨床のなかでFcRnという言葉を聞く機会は増えてくると思われる。
さて、そのFcRnは腎臓で何をしているか?つづく。