2013/11/07

Geriatric Nephrology 23(aka Journal Club)

 腎臓関係の主要誌で「geriatric、elderly、kidney」と検索してみつかった、興味深いいくつかの論文について取り上げ批判的考察を加えるjournal clubまでしてくれるなんて、面倒見のいい学会だ。たくさんレビューしすぎて議論は駈足だったが、フロアから有益なコメントも多かった。

BMC Public Health 2012 12 343(ドイツ)
高齢者にCKDは多い、Cystatin Cでみるとすこし少ない

CJASN 2013 8 33(台湾)
高雄郡は、透析患者の有病率が世界で最も高いらしい
リスク因子の一つ、Long Dan Xie Gan Tangという漢方薬

CJASN 2013 8 939(韓国)
高齢者ではCKD-EPIのeGFR低下による死亡率hazard ratioが若年者より低い*
*数字は小さいが、absolute riskはもっと高いのではないか?

CJASN 2012 7 949(米国)
CKD患者にはECG異常が多く、大きな異常*だと死亡率のリスクが高い
*心室伝導遅延、Q+ST異常、LVH、Afib、1AVB

CJASN 2012 7 588(米国)
CKD-EPIのeGFR低下はインスリン抵抗性と相関していた
(個人的にはLancet 2012 380 601と関連して考えた)

KI 2012 82 482(イタリア)
死亡とESRD、どちらが先に来るか調べた
65歳+35ml/min/1.73m2が目安の点、詳しくは論文の図参照

AJKD 2010 56 122(米国)
AKI*は高齢者に多く、ESRDと死亡の因子
*ベースライン腎機能がしばしば不明なことに注意

KI 2012 82 920(台湾)
高齢者の術後AKI(ICU)は、Crがあまり上昇しなくても予後が悪い?

JASN 2013 24 1166(米国)
高齢HD患者の脳梗塞発症リスクは数ヶ月前に高くなり、透析月がピーク
以後数ヶ月で減るが12ヵ月後も以前より高く維持
Afibはリスク因子として有意でなかった
透析前後というのは不安定な時期だし、透析そのものとの因果関係は不明

JASN 2013 24 1297(米国)
高齢のESRD患者でAVF(内シャント)がベストでないかもしれない*
*USRDSデータの解析

CJASN 2012 7 1163(米国)
ECD(extended criteria donor)腎を移植された高齢者は生命・腎予後が不良だった
→そりゃそうだ