2013/08/29

antibody-mediated PRCA

 ESA-induced pure red cell aplasia(antibody-mediated PRCAとも)なんて正直知らなかった。CKD、透析患者さんがESA不応になったらまず考えるのは鉄欠乏と出血、その次がhepcidinなどが関与した鉄利用障害だと思っていたからだ。Handbook of Hemodialysisにも書いてあった覚えがない。どこにいっても学び続けられて幸せだ。
 前述の原因を除外あるいは治療してもなおHgbが急降下して輸血が必要なレベルになったら、antibody-mediated PRCAを覚えておかなければならない。レビュー(CJASN 2008 3 193)によれば稀だが起こる。抗ESA抗体は、抗体価が高く中和能力がある(bioassayで証明された)場合により診断が確定的で、なかでもIgG4が診断的という(NDT 2012 27 3892)。
 逆に言うと、ちょっとくらい抗ESA抗体(IgM、低抗体価のIgG、中和能力がない:ESAを使っていればそんな人はいくらもいる)があっても診断はできない。抗ESA抗体はそもそも検出が難しくELISAではfalse postiveを出してしまうそうだが、抗ESAIgG4抗体を高精度で検出するImmunoCAPを使った検査がこないだ報告された(Clin Vaccine Immunol 2013 20 46)。
 抗ESA抗体はESA、さらには内因のerythropoietinまでもcross-reactivityがあるので、他のESAに換えることは薦められないとある。ただしEprex®でPRCAになってdarbepoetin alfaにしたら治った腹膜透析患者の例はある(JASN 2004 15 2204)。これは2000年前後にでたEprex®に含まれていた添加物(polysorbate-80)のせいだったと言われており、Eprex禍などといわれる。いずれにしても本気で抗ESA抗体でPRCAになったら、ほかの薬剤性PRCAとちがってESAの中止で軽快することは少なく、免疫抑制が必要になりステロイドやダクリズマブ(humanized 抗IL-2Rモノクローナル抗体)、RTXなどが試されているが反応はまちまちだ。