高ナトリウム血症の患者さんでは、体内にfree water deficitがあるのはもちろんのこと、尿や不感蒸泄により体内からfree waterを喪失している。不感蒸泄は「不感」という位だからどんぶり勘定でしか測れないが、尿中のfree waterはfree water clearanceという計算式で算定することができる。
腎臓がピュアに血漿浸透圧と同じ尿(等調尿)を排出している時には、尿中に自由水は存在しない。希釈尿を排出しているときは、尿中の全ての溶質を等調尿で排出したらどれだけになるかという尿量(※)と、残りの自由水という風に分けて考えることができる。
まず※について考えよう。尿中の全ての溶質は、尿量×尿中浸透圧濃度で求めることができる。これを等調尿で排出した場合の尿量は、尿量×尿中浸透圧濃度/血中浸透圧で求められる。これは実はV×Uosm/Posm、クリアランスの式に他ならない。実際こうして求めた※のことをosmolal clearance(Cosm)という。
これをあてはめると、自由水は、尿量-(マイナス)Cosmとなる。これは自由水クリアランスというが、この名前は私には紛らわしい。この時のクリアランスは「一日にどれだけの自由水が体内から排泄されたか」という意味であり「物質Xが単位時間にどれだけの血液から除かれたか」という定義とは違う気がする。なお実際の計算には、尿中浸透圧を構成する電解質成分だけを考える(尿素や糖は考えない)ので、Uosm は尿Na+尿K、Posmは血中Na×2を当てはめる。